Photos: patagonia/@Kazuyoshi Sasao
6月下旬、まだ梅雨明けしていない関東。
パタゴニア サーフ千葉/アウトレットで行われた「Handplane Shaping Class」にスタッフ鈴木が参加した。
サーファーにとって一番大切なギアの一つ、サーフボード。ハンドプレーンとはサーフボードを小さくしたもの。ハンドプレーンを作ることによって、いかにしてサーフボードが作られるかの体験するのが今イベントだ。
今回、使用する材料は国内で唯一日本のストリンガーを生産するKiriflex社のものを使用(千葉ストアのある一宮町にはKiriflex社のストリンガーを使ったフォームを製造販売するFormula Japan社が工場を構えている)。
講師の小川透さんやパタゴニア・サーフィンアンバサダーでシェイパーの田中宗豊さんをはじめパタゴニアスタッフの方々の協力を得てハンドプレーンを製作していく。
まずお気に入りのハンドプレーンを手に取り、木材に書くためのテンプレートを選ぶ。
その後は木材を選びアウトラインを描く。その作業も一苦労。なかなか上手く描けなかったが講師のアドバイスに耳を傾けつつテール部分は少しオリジナルに仕上げた(勝手にオリジナルの線になった)。その際にも宗豊さんの鉛筆捌きにシェイパーとしての姿が重なり、こんな少しの部分でも改めて凄さに気付かされた。
意外と厚みがある板に早くも苦戦する予感が。
次に木材に描いたアウトライン通りにノコギリで切断していく。正直ここが一番しんどかった……なかなか切れないうえに勝手にジグソーでサクッと終わるだろうと想像していたスタッフ鈴木。この工程を正直ナメていました。
滝のように出る汗、アウトライン通りに進まない暴れるノコギリ。途中スタッフの方がかわるがわる手伝ったくれてなんとか作業を進めた。30分位??以上??かかってようやく切断できた。
しかしここでトラブルが……垂直に木を切り落とさなければならなかったのにも関わらず、刃が曲がって入ったことによりボトム側は大きく削られてしまった。宗豊さん曰く、あとちょっと内側に入っていたら修正できないレベルだったとのこと。どうやら私はシェイパーの素質はゼロのようだ。
ここからの行程は本当は自分が一番楽しみにしていた所、カンナやヤスリ等を使いアウトライン、レールを仕上げるパートだったが前工程で内側に大きく削ってしまったため宗豊さんの教えを乞い大きなミスを修正していった。そのためほとんど削ることはなくこのパートを終了。
どうにか宗豊さんの手も借りボトム側からレールを仕上げ、ボトムの仕上げ及びコンケイブを入れることに。
ここは鉛筆で印をつけ、カンナとヤスリで行う。ここでも講師の方や宗豊さんの工具捌きに惚れ惚れする。
手慣れた手付きで鉛筆で印を入れそれをみながらレールの形状を作ったり、ボトムに彫り(コンケイブ)を入れるのだが、このパートでは「水の流れを意識して、カンナでもやすりでも削る時はとにかく水の流れをイメージすることが大切だよ」と宗豊さんが教えてくれた。
確かに水の流れを意識しないと、イメージしないと‥……ボソボソと言いながらひたすら削る、確認する、削る、確認するを繰り返す。
水の流れを意識してボトムやレールを仕上げていく。
最後はリーシュを通す穴を開け、亜麻仁油で仕上げ、熱線で文字を入れて完成。油で木目が綺麗に浮き出てくる。
心地良い疲労感と汗だくのTシャツを着た自分。モノ作りの大変さ、楽しさ、普段使う道具(サーフボード)ができるまでいかに大変かを痛感した今回の企画(サーフボードは普段シェイプルームやファクトリーへお伺いする機会が多い自分でさえ奥が深い、大変だと思う作業。それと同時に芸術でもあると思う)。それを知るとさらに自分のサーフボードなどエクイップメントに愛着が湧くはずだ。
宗豊さん、小川さん、パタゴニアスタッフの皆さんありがとうございました!
製作を通して創造力を育み、そこに集った方々とのコミュニケーションから生まれるシェアの精神、サーフィンの楽しさ、自由さ、そしてギアへの愛を深めることを目的のひとつとしているこのワークショップ。この体験を通し、道具の大切さがさらに深まったのではないかと想う。
ハンドプレーンは海水浴規制がされた場所でも使用できるところが多いのが嬉しい。
これからの時期、旅にはサーフボードと共に持ち出し実際に海で使用して波と戯れ楽しんで行きたいと思う。
さっき早速地元の海へと向かうチャリのカゴにハンドプレーンを入れて持ち出した。波は小さくても波と一体になれて最高!今年一番乗る1本になるかもです。
田中 宗豊(パタゴニア サーフィン アンバサダー)
田畑に囲まれて育ち、中学2年生の時にサーフィンと出会い、虜になる。プロサーファーを志して17歳の秋に徳島県宍喰町(現・海陽町)に単身移住し、20歳でJPSAプロテストに合格。その後、ビッグウェイブサーフィンに魅了され、国内のアウターリーフやハワイ、プエルト・エスコンディード(メキシコ)、G-Land(インドネシア)など海外のビッグウェイブスポットで経験を積む。現在は徳島の自然豊かな環境の下、クラシックサーフィンを追求しながら、家族5人で米や野菜、ハーブを育ている。自ら実践するだけに留まらず、昔ながらの農法を自然体験プログラムを通じて教えている。
小川 透
パタゴニア日本支社勤務。2010年から「Make your own Hand Plane」の活動を始め、これまでにByron bay surf Festivalやnoosa surf Festivalなどでトム・ウェグナー氏と共にハンドプレーンワークショップを開催。これまでに国内外1,200人以上に「自分の手で創りで遊ぶ」喜びを伝えている。
取材協力:パタゴニア日本支社 https://www.patagonia.jp