ケリーとステファニー、サリーによる「BREITLING SURFERS SQUAD」にサーフ・ランチで話を聞いた。Part.2

ケリーとステフファニー、サリーによる「BREITLING SURFERS SQUAD」にサーフ・ランチで話を聞いた。パート2

写真/三浦安間 文/高橋淳 協力/ブライトリング・ジャパン(http://www.breitling.co.jp

ブライトリングが結成したケリー・スレーター、ステファニー・ギルモア、サリー・フィッツギボンズによる「SURFERS SQUAD(サーファーズ・スクワッド)」へのインタビュー完結編。世界のトッププロサーファーが持つ視点は、グローバルかつ超スマート。オリンピックや地球環境、ビジネスの話しまで多岐に渡り、熱を込めて語ってくれた。

サーファーズ・スクワッドとは?

ケリーにステフ、サリーも参加する「SURFERS SQUAD」。ウォッチブランド「ブライトリング」の新たな試み。

Q:海から学んだ一番大切なことは何ですか?

ケリー:自分の直感を信じること。海のコンディションが良くても、気分が乗らなければ海に出ないほうがいい。直感的に決めたことは大体正しい結果になる。

Q:あなたの直観はオリンピックに出るように言っていますか?

ケリー:僕の直観は、「もしチームに入れたらね!」と言っています(笑)

Q:いままでオリンピックは夢の対象でしかなかったわけですが、現実になった今、どのように考えていますか?

ケリー:オリンピックはとくに夢ではなかった。僕は父親とダウンヒル・スキーなんかを見て転ぶところなどを見て喜んでいただけで、夢だったわけではない。自分のやってることとは違うところにあったもの。でも今は現実になったので、僕よりもっと若い世代にとっては夢になるんだと思う。2020年に出たいとは思うけれど、一般的には、たとえば5歳の子が今サーフィンをオリンピックで観て、15年間オリンピックのために準備をする。でも僕にある準備期間はわずかだし、WSLのワールドツアーでベストサーファーは決まると思っている。いろんなコンディションの波、チャレンジを1年間通してやるわけだから。ラッキーで金メダリストになれるものだとは思わないけど、波がいい日も悪い日もそれぞれあるから、ベストサーファーがオリンピックで勝つとも限らない。でもそのチャンスが少ないこともオリンピックが盛り上がる要素のひとつだよね。

ステファニー:私にとってオリンピックは夢だった。シドニー・オリンピックでキャシー・フリーマンが金メダルを獲るところを見たし、サーフィンをやる前はいろんな競技をしていたから。ホッケーや陸上とかね。でもかなわない夢だった。それが今回、チャンスが巡ってきた。だからできる準備をしっかるするつもり。金メダルを狙うわ。最後のチャンスかもしれないしね。

ケリー:もしも出場できるなら道具が大事だと思う。どんなサーフボードを選ぶのか。速いボードで、小さい波をキャッチできることが条件だね。

Q:リサイクルやサステイナブルという地球環境に対する意識は、ずっと大切だと感じていましたか?

ケリー:いや、それは最近のことさ。その分野に関して進んで本を読んだり、勉強しようとしていなかったということだね。世界中のファッション業界のゴミ問題だけれど、毎秒ダンプトラック1台分の服がゴミになって埋め立てられているという。クレイジーだよね。人々はこのようないろいろなムダについて話をする。でもジーンズを買うとき、(ジーンズの染料で)青くなった中国の川のことなんて想像しなかっただろう。悲しいことに、多くの人がそれを知らないからどんなことかわからなかったんだ。でもソーシャルメディアで情報の伝達が変わって、動物がどんな仕打ちを受けているか、服がどうやって作られているか、プラスティックのゴミが世界でどんなふうになっているのかを多くの人が知れるようになったのさ。

ステファニー:ケリーが言うとおり、今の時代の私たちはいろいろなことを知ることができるようになった。全体的によく考えて物事を見たほうがいいと思うわ。でも、すごくショッキングなドキュメンタリーを見たとしても、やっぱり直接質問をして議論することが大事でそこから学ぶことは多い。ブライトリングとのパートナーシップは嬉しいわ。特にスーパーオーシャン オートマチック 44 アウターノウンのクオリティが素晴らしいことはもちろん、海洋保護についてメッセージを伝えることができるのだから。たとえばストラップに使われているECONYL®️(海に廃棄された漁網からリサイクルされたナイロン素材)について学びながら、たくさんの人が素晴らしい仕事をして、ゴミから循環型ビジネスモデルを実現しようとしている。とても素晴らしいことだと思う。

ケリー:僕はソーシャルメディアに初めて触れたときに、ファッション業界についてよく研究した。たとえば労働条件などの観点からもね。それからというもの、ただブランドと契約するだけではなく、自分できちんとしたものを作りたいと思うようになった。

Q:大きなビジネスをする立場になっていますが、昔と今ではどのように気持ちが変わりましたか?

ケリー:若い頃からずっとビジネスには関わってきたけれど、やっぱり雇われている感じは拭えなかった。自分でビジネスを持って、もっと内部の方向性などに関わりたいと思った。10年以上前、クイックシルバーと契約を更新するときにもっと内部に関わらせてほしいと頼んだ。その頃から始まったような気がする。そこからアウターノウンやファイヤーワイヤー、そしてウェイブ・カンパニー(サーフ・ランチ)と、それぞれいいチームに恵まれた。金儲け=悪みたいに言う人がいるけれど、僕にとってはもっとスピリチュアルな感覚で、自分のやりたいことを突き詰めていったら自然とビジネスを持つようになったということだよ。

Q:たくさん海に出ていることで、どのような影響を受けていますか?

サリー:引き寄せられるように、ずっと海のそばで育ってきた。潮の満ち引きを感じたり、新しいスウェルに興奮したり、友達とサーフィンをして楽しくなったり、常に知らないところに冒険に出かけるような感覚ね。たとえば内地で1週間過ごしたら、もう海に戻りたいっていうほど人生の一部になっている。

ケリー:健康的な中毒みたいなものかな。健康でいられるし、明日を楽しみでいられる。サーフィンを通して、自分の周りの状況を感じとる術を学んだと思う。海に入っていると、波も人も見ていなければいけない。ハワイのパイプラインにいるときは、いつもずっとビーチで座って波を観察して、本当に「ここだ!」というとき海に入ってサーフィンをしてきた。そのようにして自分の直感を信じられるようになったんだ。波に乗れても、乗れなくても、次にもっといい波が来るかもしれない。だから自分を信じるしかない。

(完)

パート1は下記からご覧になれます。
https://surfinglife.jp/news/18321/