飯田航太が見たコロナ後のオーストラリア・ゴールドコースト


現在、国際的に深刻な問題となっている新型コロナウィルス。中国を発端とし世界中に拡散、各国は入国制限をかけるなどいわば国際社会は一時的に鎖国状態になっている。国内外ではイベントや集会の禁止、さらには外出区禁止令などの規制がかかり、さまざまなスポーツにも大きな影響がでているのは周知の通りだ。そんな状況の中、サーフィン界では先日3月13日にWSLが3月に開催予定だった全イベントのキャンセルを表明、これにはWSLの最高峰ツアーであるチャンピオンシップツアー(CT)の初戦でさえも含まれた。そして間を置かず、3月17日にはWSL CEOのエリック・ローガンが5月まで世界中で開催される全てのコンテストの延期またはキャンセルを表明し、さらなる衝撃が走った。

この状況の中、WSL CT初戦が開催されるはずであったオーストラリア・ゴールドコーストに中学を卒業し渡豪、現在は現地の大学に通いながらプロサーファーとして活動をしている飯田航太に現地の様子を話してもらった。

CT初戦のゴールドコースト・プロがキャンセルされました。地元の反応について教えてください。

キャンセルのニュースが入った時は皆、混乱してましたね。でも混雑を避けたいというロコサーファーの一部は嬉しがってますね(苦笑)しかしゴールドコーストで行われる一番規模の大きいイベントがキャンセルになったことでローカルビジネスは相当な打撃を受けるだろうと心配しているのも事実です」

ーオーストラリアも入国に関し、14日間の自主隔離を求めるなどを先日表明しました。現地ではコロナウィルスによるどんな影響がでていますか?

「こちらでも日に日に深刻さを増すコロナウイルスですが、地元の人たちの意識はあまり変わってない気がします。人が集まる所なのに消毒液を置いている所も少なく、マスクを着けてる人も見たことありません。でも、ゴールドコーストは観光客が多い場所なので、感染リスクは高い可能性があります。こんな状況なのに地元民の意識は上がらないのかな?と思ってしまう事もありました。最近では、買い占めが起きて品薄になったトイレットペーパーを奪い合う為に暴力事件にまで発展したっていうニュースがありビックリしました。現在はパスタ、米などの保存食が品切れになってきつつあります。ゴールドコーストだけでなく、南に四時間行った田舎町のヤンバのスーパーマーケットでもトイレットペーパーやティッシュ類が品切れで棚から姿を消していました」

日本人のサーファー(プロサーファー、一般サーファー)はいますか?

オーストラリア国籍の人も含め、海外から入国するすべての渡航者を対象に、2週間の隔離措置を行うという、3月15日から施行された法律で違反すると高額な罰金が課されるということもあり、15日以降に入国予定の人達はキャンセルせざるを得ない状況になってますね。それ以前から到着している人たちは対象にならないので、日本人サーファーの顔ぶれは例年とあまり変わりはないと思います。しかし、3月の全てのイベントがキャンセルなり、下手に渡航もできない中、こちらに滞在中のプロサーファーは皆、混乱していました」

ーでは、話を少し変えます。2019年のスナッパーは地形が悪く、初戦はDバー(デュランバー)で試合が消化されましたね、スナッパーやキラなど地形はどうですか?

「去年だけでなく、ここ数年、スナッパーは地形がとても悪かったという印象です。いつもとは違って、変な場所に砂がついてしまったりして、スナッパーだけ割れないということも結構ありましたが、今年では既にに2回のスーパーセッションがありました。ビーチ保全という名目のスーパーバンク製造機のサンドパイプが今年に入って何度か稼働しているのを海で目撃しました!」

先日のキラでロングバレルをメイクした飯田航太。長いオーストラリア生活の中で一番の波だったという

ー2月にヒットしたサイクロン「UESI 」はどうでしたか?

今年最初のサイクロンでした。平日は、街中のサーファー達が仕事や学校を休んで海に集まっていました(笑)。UESIで一番いい波で盛り上がっていたキラではCT選手も数多く入っていました。そんな中、スウェルが続いている間、一緒に行動していたのが村上蓮プロでした。日の出から日の入りまで、ひたすらいい波を求めてキラに入り浸ってましたね。オーストラリアでは良い波の日は祭りのように海が賑わうっていうのがお決まりでいつも驚かされます」

ーでは最後に一言

一日も早く世界中で事態が収束され、みんながハッピーなサーフィンライフを送れるようになる事を祈っています」

飯田航太
1998年生まれ兵庫県出身ゴールドコースト在住
両親の影響で6歳よりサーフィンを始め、その後、四国徳島県移住しグロムサーファーとして注目を集める。中学卒業後に留学、サーフィンのレベルアップのため、単身渡豪。高校を卒業後は現地の専門学校、大学と進み現在は映像制作を学んでいる。昨年、9月に種子島で開催されたJPSA(日本サーフィン連盟)の試合で公認プロサーファーとなった。スポンサーは、Quiksilver、Hammo surfboards、HRS surf、Balin Surfers Hardware、KIYOMO Inc、WaveBandit、守源旅館、Obfive、アミノメイソン

先日のキラでのライディング映像は、米サーファー誌が選ぶ2月のClips Of The Montの第10位に選ばれた。