気象予報士が解説!冬型の気圧配置はどこに波を生む?

いよいよ本格的な冬シーズンの始まりだ。冬は日本海に良い波が立つイメージが強いが、湘南や千葉にも実はチャンスがある。波を当てるコツを気象予報士に聞いた。

 

冬型の気圧配置はどこに波を生む?

西高東低

日本の西に高気圧、東に定期あるが位置することが多い冬型の気圧配置。

この現象は、冬のユーラシア大陸では太陽からの日射量が少なく、北極の寒気に冷やされてしまうことで起こる。冷たい空気は重いため、地上へ降りてくる。そしてこの寒気が溢れ出して西側から日本付近にやってくる。するとキーンと冷えた北西~北東の季節風が吹き荒れることになる。さらに年間を通して海水温の変動が少ない南太平洋上では、この寒気と南海上の暖気がぶつかり、上昇気流を生む。低気圧が発生し、発達する要因となる。

 

日本海側

北西~北ベースの風が集まり、波がサイズアップ!

太平洋側

西~北風の強いオフショアにうねりが抑えられ、スモールコンディションとなりがち。ただし関東~東海の南向きのポイントでは、西風が吹いて波が立つことも!また、遥か北東の海上で発達した低気圧により波が上がることもある。

同じ冬でも1月と2月で天気図の傾向も変わる!

1月の天気図

最も寒い1月前後はいわゆる「冬型の気圧配置」となることが多い。日本列島の西側に高気圧、東側に低気圧があり、等圧線は縦に並ぶ形となる。日本付近には北からの冷たい北~北西の風が吹き、グッと冷え込む。この風は北~北西方向を向く日本海側には好都合。オンショアとなり波がサイズアップする要因となる。逆に南向きが多い太平洋側のサーフポイントは波への期待は薄いが、北東の風波や東海上から抜けた低気圧のうねりが反応することもある。

2月の天気図

寒さの続く2月前半は、1月と似た気圧配置であることも多いが、春の訪れが近づく2月末になると天気図は変化し始める。本州の南側を低気圧が通過していくパターンだ。いわゆる南岸低気圧と呼ばれるもので、2月が最も発生しやすい。2つの低気圧が挟み込む形で日本列島に乗り上げる、もしくは乗り上げないかで風の向きは変わるが、低気圧周辺では反時計回りに風が吹くため、太平洋側に北以外の風が入ることとなる。つまり波が上がりやすくなるのだ。

 

教えてくれた人
気象予報士/塩田久実さん/千葉県生まれ。波乗り歴 25 年。大好きな海と波をもっと知りたいと思い、波に特化した気象予報士に。現在は波情報サイト「なみある?」の専任スタッフとして活躍。彼女の「気象予報士コラム」では、より詳しく天気図や波の読み方を学ぶことができる。

https://namiaru.tv


サーフィンライフ2020年1月号の内容を再構成