ドルフィンスルー 3つのコツ

ドルフィンスルーとは

ドルフィンスルーは、押し寄せる波の下をサーフボードごとくぐり抜けるテクニック。波が目の前にやってきたら、両手でサーフボードのノーズを海面に刺すように沈め、続いて自分も水中に潜る。このときつま先をテールに付けて全身でサーフボードを押しこもう。水中では波をやり過ごすようにタイミングを見計らう。波が自分の上を越えたらノーズを上げて、前方にサーフボードを送り出していきながら海面に出れば波の裏側に抜けられる。

 

まずはドルフィンの基本動作をチェック!

ドルフィンスルーは、来る波に対して、サーフボードを水面下に沈めてくぐり抜ける技術だ。そしてドルフィンスルーのキモは、パドリングの時点から始まっている。ブレイクする波をスムーズにやりすごすうえでスピードが大切になるためである。スピードは推進力となり、来る波に押し戻されず沖へと向かう効果をもたらす。例えば波待ちをしている状態で波がやってくれば岸の方へと押し戻されてしまう。目的は沖に出ることなのだから、押し戻される状態は時間と体力のロスでしかない。しっかりパドリングでスピードをつけドルフィンスルーにのぞみたい。

 

カレント(潮の流れ)を見極めスムーズなドルフィンを行えば、ゲッティングアウトはより速くメイクすることができる。そしてドルフィンの動きで失速しなければ、沖はもっと近くなる。プロサーファー石原壮がドルフィンの3つのコツを伝授。

コツ1 潜るギリギリまでパドルして最大の推進力を手にいれる

来る波を効果的にやりすごすためにもドルフィンスルーの前にしっかりとパドリングをし、ある程度の推進力と勢いを付けておきたい。そうすればノーズを水のなかへとスムーズに潜らせることができる。また沖に向かう間に何度もドルフィンスルーをしているとスピードを失ってしまうことがある。ドルフィンの繰り返しは疲れを招くが、次に波がやって来るまでのわずかな合間でも、しっかりパドリングで推進力をつけておきたい。

それぞれのポイントを解説

石原壮

波が小さいこともあり、ゆとりを持ったパドリングを見せる。

石原壮

パドリングの継続からスピードは維持。

石原壮

波のトップがハラリと崩れ始めた瞬間、ドルフィンスルーを始めた。波に対してサーフボードと身体は正対していることもチェックしたいポイント。

石原壮

サーフボードと身体を水中へ。

石原壮

波が崩れたことで生まれるスープと呼ばれる白波が身体にかかっていないことに注目。

コツ2 手はノーズ寄りに置いてサーフボードを沈めやすくする

ドルフィンスルーでは、まず最初にサーフボードのノーズを沈めることになる。その際、手の位置はテイクオフのときよりもノーズ側に置くといい。そして重心を移動してその部分に上から体重を乗せていけば、ごく自然にサーフボードはノーズ側から水中へ潜っていくのだ。しかし、あまりノーズ寄りに手を置いてしまうと、今度は体重を乗せることが難しくなる。この手の置く位置は反復してドルフィンスルーを行うことから見出すのがベスト。またサーフボードは力強く握らず、軽く添える程度でOK。強く握ってしまうと余計な力みを生んでしまい、身体全体のバランスを失ってしまう。目指すスムーズなドルフィンスルーから遠のいてしまうのだ。
石原壮

石原壮

実際の手の置き場をビーチ上と水中からチェック。上の写真でいうと、テイクオフ時の手の置き位置は右手下の黒いロゴあたりになる。ドルフィンスルーでは、手は確かにノーズ寄りに置かれている。

コツ3 波のサイズやパワー次第で潜る深さを変えていく

ドルフィンスルーをする波は大きいのか、小さいのか。波が崩れる前なのか、後なのか。まさに崩れる瞬間なのか。いずれの状況においても、サーフボードを沈める角度や深さ、ドルフィンスルーを始める前までに必要な推進力は変わってくる。大きい波で、崩れる瞬間にドルフィンスルーをするのであれば、波から受けるパワーも大きいことから、真下に潜るように深くノーズを沈めていくのがいい。対して小さい波やパワーのない波なら、沖へ向かう推進力を大切に、浅く潜って波をやりすごしたい。どのような波で、どのようなドルフィンスルーをすべきか。確かな状況判断は経験に基づくため、あらゆる波でトライするのが大切だ。

石原壮

サイズの大きな波でドルフィンスルーをするときは、サーフボードも身体もできるだけ深く潜らせたい。しっかりノーズを深く沈め、テールも深く蹴り込んで身体を沈めよう。


石原壮 プロサーファー
プロサーファー石原壮
1997 年8 月12 日、静岡県下田市生まれ。バグース所属。スタイリッシュなサーフィンを信条としている、2016 年にJPSA公認プロ資格を得たアップカマー。

写真/土屋高弘 取材・文/池田昌弘