ショートボーダーのためのロングボード講座

ショートボードでは難しいコンディションでも、長くて重たいロングボードならではの乗り方を知ることで、小波でも新しい楽しみ方を身につけられる。今回はプロサーファーの高貫佑麻さんに、ショートボーダーがロングボードで楽しめるコツを教えていただいた。

高貫佑麻

1.ショルダーからのテイクオフ

ロングボードならではのポジショニングを覚える

まず、知っておきたいのは、ウネリから立ち上がれるロングボードでは、テイクオフのポジションがショートボードとは全く違うこと。「ショートでは絶対に乗れないような位置からでも、ロングボードなら十分波をつかまえることができます。ただ、ボードが走り出すまでに時間を要するので、パドリングは少し助走距離が必要です。慣れないうちはピークを狙わず、まだブレイクしていないショルダーから乗ってみましょう。最初は腰サイズ以下の波がやりやすいですね」

慣れないうちは、波の斜面の角度がゆるいショルダーを狙うと、テイクオフの感覚を覚えやすい。
高貫佑麻

高貫佑麻

2.テールでのライド感を覚える

みずからテールに動くことでボードをコントロールする

テイクオフの次に大事なのは、テールでボードをコントロールする感覚。軽く短いショートボードでは、同じスタンスのまま前足と後ろ足への体重移動だけでもコントロールできるが、ロングボードでは、自分自身を移動させて、しっかりと加重することが必要になってくる。「ロングボードは急激に曲がることが難しいので、しっかりとターンしたいときは、すり足でもいいので、テール寄りに移動しましょう。サーファーを避けたりする際にも大事なコントロール法となります」

高貫佑麻プロ ロングボード 高貫佑麻プロ

3.ロングならではのグライド感を味わう

何もしないで乗っているだけで気持ちいい

ロングボードの良いところは、波の斜面を滑るだけで、独特の浮遊感を味わえるところ。普段入ろうとは思わないようなサイズの小さなコンディションでも、ロングボードがあれば、たちまちグッドウェイブに見えてくる。「ロングボードの長さと重さは、ショートボードにはないグライド感を生み出します。何もせずに乗っているだけで、まるで空を飛んでいるように滑っていく感覚は、チューブライドと同じぐらい気持ちいいんですよ」

高貫佑麻

ロングボードがあると、楽しめる世界が広がる

「ショートボーダーの人が、ロングボードならではのグライド感を味わいたいなら、あまり重すぎないクラシックなタイプのシングルフィンがオススメです。サーフィンしたくなるフィールドが一気に広がると思いますよ。波に乗れる本数が多くなるからこそ、まわりのサーファーと波をシェアしながら、余裕を持って楽しみましょう」

高貫佑麻
高貫佑麻プロ
たかぬきゆうま●1989 年、千葉県生まれ。プロサーファー。177㎝、66kg。ハワイ・ノースショアのビッグウェイブから、日本のビーチブレイクでの膝~腰サイズの小波まで、波との一体感を追求するフリーサーフィンが魅力。5 年ほど前から始めたというロングボードは、今や手放せない存在。


写真/高橋賢勇 取材・文/松永光人
[サーフィンライフ2018年9月号掲載記事を再構成]