サーフィンライフ アーカイブ Vol.32 2004年1月号:牛越”U4″峰統は念願の、間屋口香は初のグラチャン獲得

表紙は2003年JPSAで初のグランドチャンピオン獲得となったU4(ウッシー)こと牛越峰統。東京出身のサーファーとして初のグラチャン誕生です。窓から差し込む夕方近くの陽待ちで撮影。カメラマンは横山泰介さん。ライディング写真がずっと続いた後の久々のポートレイトの表紙となりました。
特集はバリ。この特集の約1年前に200人以上が犠牲となった爆弾テロがありました。事件の影響でしばらくの間テロ警戒指定地域となってしまい、観光客はおろか、トリップに行くサーファーも激減。そんな復興途中のバリを応援すべく組まれた特集。リザール・タンジュン、ワヤン・ピッチャ、JPSAにも参戦していたペペン・ヘンドリックスなどバリを代表するサーファー達に事件以降変わってしまったバリ、変わらないバリを現地取材。もちろん、今では完全復興を遂げていますが、事件現場のモニュメントを見るとこの特集を思い出します。そんな悲劇もありながら、今も昔も変わらないのは、クオリティーの高い波、そして信仰心が深くフレンドリーなバリニーズサーファー達です。あ〜、バリでガッツリサーフィンしたい!
牛越峰統グラチャンインタビューには多くの関係者から祝福のメッセージが。これもU4の人柄がなせる技。グラチャンが決定したのは、最終戦バリのしかも最終ヒート。しかし、自らが優勝しての獲得ではありませんでした。最終戦にランキング1位で臨んだU4でしたが、まさかのアーリーラウンドで敗退。これでグラチャンの可能性がある選手がU4を含め、田中樹、小川直久、浦山哲也など5人に広がります。田中樹はクォーターファイナルを勝ち上がれば、19歳(当時)で初のグラチャン獲得でしたが3位敗退、チャンスを逃します。この中でファイナルに進出したのは、小川、浦山の二人。どちらかが優勝すれば、逆転でグラチャン獲得という状況でした。ファイナルは4人ヒート、他には沼尻和則、小川啓の二人が進出。結果は沼尻選手の優勝となり、U4のグラチャン獲得となったのです。これにはエピソードが。ファイナルディの早朝、他の結果を待つしかない不安げなU4に後ろから沼尻が声をかけます。「ウッシー、俺が優勝してやっから大丈夫だよ」。で、この結果。有言実行とはこの事、男・沼尻メチャカッコいい!
女子のグラチャンは間屋口香。JPSA参戦1年目、そして当時の史上最年少20歳という偉業達成。キュートなルックスと男勝り(失礼!)なサーフィンは、新時代のクイーン誕生を十分予感させるものでした。その後も、期待通りに2005、2008年と合計3度のチャンピオンとなっています。引退後はサーフィンをベースにしながらも、海に山にと旅するライフスタイルを送る素敵な大人の女性になりました。また、日本で開催されるWSLやISAの実況やインタビュアーとして、多方面で活躍しています。