健全な水が地球と生命を守る。パタゴニアが問いかける「ヘルシー・ウォーターズ」 8月31日まで各地で「ヘルシー・ウォーターズ」キャンペーンを開催

健全な水が地球と生命を守る。パタゴニアが問いかける「ヘルシー・ウォーターズ」

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パタゴニアと水の保護活動について
パタゴニアが最初に環境保護活動に関わったのは、川に関するものでした。1973年、ベンチュラ・リバーの河口における水路計画と開発に反対の声を上げていた当時大学院生のマーク・キャペリの活動に感銘を受け、彼に机や私書箱、若干の資金を提供した。これが、フレンズ・オブ・ベンチュラ・リバーという団体と、ベンチュラ・リバーを守る戦いを支援することになったきっかけとなっている(このプレートは現在もベンチュラ本社の壁に掲げられています)。

その後もパタゴニアは、健全な川を取り戻すための取り組みを続けてきた。「サーモン・ラン」「ワールド・トラウト」「日本の川の自由な流れを目指して川と流域を守るフリー・トゥ・フロー」「アワ・コモン・ウォーターズ(共有の水)」、そしてドキュメンタリー映画『ダムネーション』、石木ダム建設阻止を訴える「#いしきをかえよう」、『アーティフィッシャル』、「ダムの真実を伝えつづけてきた10年」といったキャンペーンを通じて、時代に合わせて形を変えながらも、この活動を継続している。

創業者のイヴォン・シュイナードも「日本の川と流域を救う」の中で下記のように危機感を持って私たちに伝えている。
「日本は川に恵まれた国です。日本列島が人間が暮らしやすい豊かな土地になったのも、またそうした川の作用によるものです。川のすばらしさや価値について知らない人はいないでしょう。自然のままの健康な川は飲み水をもたらすだけでなく、洪水や旱魃による影響をも抑えます。けれども、現在の日本の流域は水源から海にいたるまで人間の活動がもたらす無数の脅威にさらされ、その河川環境は過去半世紀の高度経済成長期以来、急速に悪化の道をたどっています。いまや日本の大半の川の流路と運命は、人間が思いどおりに決めています。川に残されるのは本来の名前だけです。川は日本の生態系の活力源であり、川の健康は人間の健康に直接影響します。このままでは、やがて人間は大きな代償を払わざるを得なくなるでしょう。一方で、時代遅れとなった管理手段に取って代わる選択肢もあります。私たちが姿勢を変えて行動を起こせば、日本の川と流域の健康を取り戻すことはできるのです。」

ヘルシー・ウォーターズ
野生の川と自由に流れる水。それは私たちの地球の守護者であり、変化する気候による災害を軽くし、減らすため、静かに働いています。それは炭素隔離、温室効果ガスの抑制、気温や水温の調節、水の循環の統制、生物多様性の保全、自然の回復力の構築をし、気候危機が加速する世界における生命線となっています。川は水以上のものを運ぶ。私たちの生命を運ぶ。私たちはすべての生命が相互に関係しあっていること、そして地球とそこに住む人間を含むあらゆる生物の幸福に、ヘルシー・ウォーターズが多大な影響を与えることを知る必要があります。

 

©つる詳子

3つの地域の取り組み●朱太川水系●球磨川●広瀬川

●道南●朱太川水系
ダムのスリット化や撤去による河川環境の回復北海道道南エリアは急峻なまま海にそそぐ独立河川が多く、大型のダムは少ないものの、国内の他の河川の例に漏れず多くの砂防ダム、治山ダムが存在し、東アジアに古くから在来するサケ・マス類にとって重要な母川が奪われてきました。行政は資源量維持~増加に向けて放流事業などを行ってきましたが、近年では効果が薄いまたは、逆効果であるとも言われ始めています。「流域の自然を考えるネットワーク」は地元漁師や市民の活動をサポートするとともに地道な行政への働きかけで、多くのダムに手を付けて川を開放してきました。活動の中心である道南エリアの日本海側のみサケの漁獲予想量を大幅に上回る実績となり1958年以来過去最高を記録。また沿岸海藻の育ちが良くなり、ウニが大型に成長するなど流域環境の再生は沿岸漁業にも好影響を与えていると考えられます。そうしたなか、道南エリア北端に位置する黒松内町は全国に先駆けて平成24年3月に「生物多様性地域戦略」を策定。北は寿都湾(日本海)南は噴火湾(太平洋)に挟まれた低地帯に位置する海のない町は、町内を流れる122本の河川すべてが朱太川に注ぎ込んでいます。朱太川本流には動物の移動を阻害する人口構造物はありませんが、支流には砂防堰堤があり、サケ・マス類の産卵域への遡上を妨げています。道南エリア他河川での動きにも影響を受け、より健全な流域を有する町になるため、2024年にはパタゴニアと包括事業連携協定を結び、ダム撤去に向けたアクションを開始しました。ダムの撤去により、川は自由な流れと健全性を取り戻し、北海道のサケ・マス類資源量の回復の一因となることが予想されています。スリット化成功事例のせたな町をきっかけに、道南を中心とした道内各漁業関係者、市町村議員とが協働し、ダムのスリット化から撤去、建設見直しをはじめることを目指します。

●熊本●球磨川
豊かで災害に強い球磨川流域の再生球磨川(くまがわ)は、熊本県南部の人吉盆地を貫流し、支流を併せながら八代平野に至り八代海(不知火海)に注ぐ一級河川、球磨川水系の本流です。その最大の支流は独特の青く澄んだ水をたたえ、清流としても知られる川辺川で、2つの川は尺アユや尺ヤマメが泳ぐ、全国の釣り人が憧れる屈指の河川でもあります。また美しい景観のなか、大自然を思う存分楽しむラフティング、100年以上の歴史のある球磨川下りをはじめ、多くのアクティビティが楽しまれています。2018年3月に完了した球磨川本流の荒瀬ダム撤去では、天然ウナギの漁獲が急回復するなど、着実な水辺環境の回復が報告されており、球磨川の清流は守られるかと思われました。けれども、令和2年の球磨川豪雨は球磨川流域に甚大な被害をもたらします。地元でトレイルラニングイベントを主催していた「チームドラゴン」は大会のトレイルを利用し被災地へアクセスするとともに「豊かな球磨川をとりもどす会」と連携し、「坂本町災害支援チームドラゴントレイル(通称:チームドラゴン)」を立ち上げました。また災害支援の一方でシカの食害対策として防護柵設置なども実施しました。流域を見渡せば、84%を占める森林は間伐放棄、皆伐、シカの食害で保水力は著しく低下し、その力を失っており、大雨が降る度に土壌流出を起こし、大量の流木・土石が河川に流れ込んでいます。毎年気候災害が起こりうるなかで、森林の再生は待ったなしです。現在、新たに流水型川辺川ダムが計画されていますが、十分に森林政策には目を向けられていません。熊本県でも流域のあらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる治水対策の全体像を「流域治水プロジェクト」としてとりまとめていますが、チームドラゴン事務局では、球磨川流域の現状把握に奔走するとともに、壊れない道づくりが特徴の自伐型林業に目を向け、関心ある個人、自治体と活動してきました。また「球磨川流域と私たちの暮らしの在り方を考えるプロジェクト」として、球磨川流域においては、住民が森林に目を向けるだけでなく、各個人が参画できる仕組みを作ることが求められており、結果として森林・里・川・海の循環を重視した考え方が豊かな流域を作るとともに、ダムだけに重点をおくのではない流域治水という防災・減災対策につながっていくことを目指しています。

●仙台●広瀬川
これからも市民の川でありつづけるために杜の都、仙台。その所以は、江戸時代、仙台藩祖、伊達政宗公が、飢餓に備えて屋敷内に実のなる木や竹、杉などを植えるように勧めたこと。そうしてできた屋敷林と、寺や神社の林、そして広瀬川の河畔や青葉山の緑が一体となり、仙台の町全体が緑に包まれていたことにあります。その広瀬川もまた、仙台市民にとって特別な存在です。仙台のシンボルであり市民の誇りである広瀬川は、仙台の中心部を流れるため、都市のビルを背景にして大きく蛇行する川筋や、切り立った自然崖が存在するダイナミックな景色を間近に見ることができる数少ない河川であり、「景観がすばらしい名水」として、環境省の名水百選にも選ばれました。その広瀬川にはサケやアユが遡上します。100万都市の市街地にありながらサクラマスが棲み、上流まで遡上する川は、世界的にみてもこの川しかありません。しかしながら近年、砂防ダムをはじめ、台風、大雨による土砂の堆積、雪不足による渇水、あるいは温暖化による水生昆虫の減少といったさまざまな影響により、サクラマスの遡上数の減少がみられるようになりました。「NPO法人水・環境ネット東北」をはじめとする市民団体は、遡上の障壁などを調べ、その原因と思われる魚道の設備や、砂防ダムにより石が流れてこないための対応としての産卵床の造成など、継続的な活動をつづけています。サクラマスは、良好な河川環境の指標の一つであり、その存在は広瀬川の生態系を豊かにする役割も果たしています。露盤化に拠る河床の変化や水生昆虫の現状を知り、サクラマスの遡上量を本来の姿に戻すことで、大都市圏での生物多様性の回復と保護が可能であることを多くの方に知ってもらうこと。また同時に、広瀬川の生物多様性を学ぶための自然観察会や、風物詩である芋煮会など、市民にとって身近な川でありつづけることで、真の意味での「市民の川」の継続を目指します。

行動を起こそう
私たち人間は、野生の川と自由に流れる水の擁護者として、これらの計り知れない資源を保護し保全するという決意をもち、この問題に直接的に関与する必要があります。そして、私たちにはそれを実現することができる力があります。

●道南・朱太川水系朱太川マスの未来地図~市民参加型環境モニタリング調査~へ参加しよう健全な流域環境を取り戻す協力者を全国から募り、朱太川流量の約半分を担う黒松内川に焦点を当て、サクラマスの産卵状況などの調査を行い、砂防堰堤の影響と現状の環境情報を収集します。 https://info.patagonia.jp/events/1115/

●熊本・球磨川球磨川流域でみんなで森づくりをしよう。豊かで災害に強い森とはどういう森でしょうか。流域に暮らす住民たちの手で災害に強い森とはどんな森なのかを知り、林業者と市民が一緒に壊れない道づくりや散策できるコースづくりを行う豊かな森づくりを目指します。球磨川流域と私たちの暮らしの在り方を考えるプロジェクトhttps://www.facebook.com/savekawabe/

●仙台・広瀬川広瀬川を知ろう、学ぼう、体験しよう。NPO法人水・環境ネット東北では、各団体と連携しながら定期的に活動し水環境に関わるひとびとの交流と合意形成の場づくりを行っています。魚道整備、一斉清掃、生き物調査、生物多様性を知る観察会、四ツ谷用水ガイド養成講座、フォーラム、河川敷除草作業イベントなど多岐にわたります。NPO法人水・環境ネット東北 https://mizunet.org/

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映画『サクラマスのラストワルツ』監督:坂本麻人
A TROUT AND THE LAST WALTZ
サクラマスのラストワルツ
海と森を紡いできたサクラマスの知られざる世界。近代社会と共に失われた私たちと自然のあり方に迫るドキュメンタリー。海へ旅立ったヤマメは、サクラマスとなって再び春に川へ帰ってくる。森と海を繋ぐサクラマスの世界は、今、私たちの社会によって大きく阻まれている。近代化と共に分断された川、技術に頼る近代漁業、迫る温暖化、そして私たちがもたらしてきた複雑に絡み合う問題。もう一度、私たちは、サクラマスと共に川へ帰ることができるのだろうか……。かつて私たちと自然を紡いできたサクラマスの知られざる世界に迫るドキュメンタリー。本作は、前作となるドキュメンタリー映画『ミルクの中のイワナ』(2024年公開)を監督した坂本麻人による新作映画『サクラマスのラストワルツ』(2026年公開予定)の特別映像として編集された短編作品となる。

ヘルシー・ウォーターズ~この夏の一日を皆さまの川の日に。

何事もキッカケが大事、知ることから始めよう。各地で行われる『サクラマスのラストワルツ』 特別映像上映会に参加してみよう。
野生の川と自由に流れる水。それは地球の守護者であり、気候危機が加速する世界における生命線です。川は私たちの生命を運びます。地球とそこに住むすべて生き物の幸福に、ヘルシー・ウォーターズは多大な影響を与えます。日本列島が人間の暮らしやすい豊かな土地になったのも、そうした川の作用によるものです。本イベントでは、『ミルクの中のイワナ』の坂本麻人監督による新作映画からの短編作品を上映し、私たちにとっての健全な川や水とは何なのかを考える時間をもちます。この夏の一日をぜひ皆さまの川の日に。
※イベント中、ソーシャルメディアでの投稿を目的とした撮影をさせていただきます。
※開始、終了時間が前後する場合がございます。あらかじめご了承ください。イベント応募はこちらから
7/25 (金)東京・大崎パタゴニア大崎ストア
7/29 (火)白馬パタゴニア白馬ストア
7/31 (木)京都パタゴニア京都ストア
8/5 (火)軽井沢パタゴニア軽井沢ストア
8/9 (土)北海道・札幌ユナイテッドシネマ札幌
8/10 (日)仙台誰も知らない劇場
8/17 (日)福岡パタゴニア福岡ストア
8/23 (土)北海道・弟子屈釧路圏摩周観光文化センター
8/30 (土)北海道・旭川イオンシネマ旭川駅前
8/31 (日)北海道・北広島キャンパーズアンドアングラーズ北広島

ヘルシー・ウォーターズ・キャンペーン 公式サイト
https://www.patagonia.jp/healthywaters.html