すボードが多様化しようとも、時代を超え愛され続けるスラスター。サーファーを魅了するその理由を13 人のサーファーに聞いた。
大橋祥宏さん ショップオーナー
おおはしよしひろ●1977年、千葉県生まれ。東京・三宿にあったサーフショップ「1975トウキョウ」をマネージメント後、千葉に拠点を移し、サーフボードや雑貨を扱う「ウェーブサーフ」をオープン。サーフィン歴は25 年。
ドライブ感が忘れられず、再びこのデザインに戻ってきました。
16歳からサーフィンを始めた大橋さんは、当時長めのデザインが主流だったショートボードを使用。しかし10年ほど前にミニボードが流行ると、ツインやレトロボードに乗ることが増えてきた。「でもスラスターならではのドライブ感やスピード感が忘れられず、7年前から再びスラスターに乗るようになりました。波をエグるような感覚、パフォーマンス性、いろんな魅力がスラスターには詰まっていますよね」。現在9本所有するスラスターのなかで、特に出番の多いこのボードはノーストリンガーでカーボン入り。膝~胸サイズの波で本領を発揮する。「EPS素材が登場したことで浮力が増し、小波でも遊べますね。以前より格段に乗りやすくなってます」。
WARNER SURFBORDS
ワーナーサーフボード
ザ・サード・アイモデル172.7×46.36×5.63㎝
今年2月に購入したこのモデルは、浮力があるのに動きやすさも抜群。EPS 素材で軽く、小波でも押し出してくれるような感覚を得られる。日本のビーチブレイクで活躍する仕様で現在のメインボード。
平岡暁史さん プロスノーボーダー
ひらおかあきふみ● 1974 年、千葉県生まれ。日本が誇るレジェンドスノーボーダーのひとり。数多くのコンペティションで活躍。スノーボードジャンプの練習ができる人気施設「千葉キングス」のオーナーも務める。
ライディングの可能性を狭めない、このデザインが好きなんです。
「スノーボードもそうですが、ただ滑るのは好きじゃない。ラインの中に自分らしさを出したいので、必ずアクションを取り入れます」。プロスノーボーダーの平岡さんが選ぶのは、鋭いリッピングを可能にするスラスター。仙台でサーフィンを覚えたこともあり、日本を代表するサーフスポット、仙台新港のサーフカルチャーに強い影響を受けている。「仙台サーファーのボトムターンやライン取りは本当にきれい。僕も基本のマニューバーを描きたいという気持ちがあるから、ボードは絶対スラスター派。ボード選びは千葉のサーフショップ『ワンワールド』のヒロくんにいつも相談しています」。今回は大きなライン取りをできるように普段より少し長めをオーダーしたそうだ。
ROBERTS SURFBOARDS
ロバートサーフボード
ザ・ブラック・パントモデル180.3×47.78×5.72㎝
石井千暁さん ブランドマーケティング
いしいちあき●1964 年、千葉県生まれ。サーフィン歴は30 年、今までに手にしたサーフボードは50 本以上。54歳になった今も当時と変わらずスラスターを愛用している。最近は息子と一緒にサーフィンを楽しむ。
動きのあるサーフィンを求めれば、必然的にスラスターに行き着きます。
「尖ったデザインのスラスターは、他よりビジュアルが断然かっこいい! 技をかけやすく、動きのあるサーフィンを楽しみたい僕に
は、手放せないボードです」。レジェンドサーファーの糟谷修自さんに憧れている彼は、糟谷さんが手掛けるブランドを愛用。本人とも親交があり、一緒にサーフィンすることもある。そのためスペックは「修自さんにほぼお任せ」だが、仕上がり具合には毎回驚かされているそう。今回は35歳のときから出場し続けているNSAの大会で勝てるように、縦の動きがしやすいデザインをオーダーした。「年齢的に体力も落ちているので、とにかく縦に押し上げやすいボードをお願いしました。軽い上に走るので、腹以上の波では必ず登場します」。
SK SURFBOARDS
エスケーサーフボード
JOPWモデル185.4×49.53×6.35㎝
糟谷修自さんの大ファンだという石井さんは、サーフボードも彼がプロデュースするブランドを愛用する。このボードはEPS素材なので通常のショートボードより軽く仕上がっていて、走り出しも早い。
写真/板倉淳夫、高橋賢勇、朴 玉順(CUBE) 取材・文/菅 明美、高橋 淳