サーファーシェフが腕を振るう店には、自然とサーファーが集まって来る。海好き店主を中心に、話題になるのはもちろん波の話。
うまいもの食べてサーフィントークに花を咲かせれば、週末のサーフィンがもっと楽しくなる!
炭焼きバル 平木商店 新橋
まるで家族のようにサーファー仲間が増えてきた
店主の平木さんは生まれも育ちも東京・新橋。地元の老舗焼き鳥店で10年修業した腕前は焼き鳥やイベリコ豚など酒のすすむ炭火焼き料理に発揮されている。奄美大島のサーフトリップが長年の楽しみで、店には島直送のレアな黒糖焼酎がズラリ。湘南から通う新橋のオフィスワーカーや、土地柄か有名企業に勤めるハイブロウな週末サーファーも集まって、カウンターでは波やらボードやら海の話に花が咲く。知らない人同士もすぐ親しくなれるのは、店主の人柄がなせるわざ。
ラムチョップの炭火焼1本700円。
そそる波が映し出される店内のモニター
【店舗情報】
平木商店
☎03-36432-0771
港区新橋3-14-1第2一美ビル
営:17:30~翌2:00、金18:00~翌4:00、土17:00~23:00
休:日・祝は不定休
海鮮料理屋 開花屋 バイ ザ シー 渋谷
異国の港町みたいな空間に夜ごと集結する、海と魚を愛する人たち
35 年前の往来のブランドものや1973 年とサインされた川井幹雄氏のサーフボード。天井を埋め付くす圧巻の板の数々は、半世紀近く波で遊んだ店主・丹下さんのサーフ歴を物語る。香港風ゆで海老やムール貝のロゼワイン蒸しなど魅力的な魚介料理が多国籍に揃うが、ここではまず刺し盛りを頼むが正解。庖丁技が冴えわたるとれたてのお造りは、沼津など店主のサーファー人脈から仕入れたものも。海外からのゲストも多く、国籍を超えて集まる海好きの聖地だ。
刺身の花盛り3,300円(4人分)。約7種の旬の魚介が楽しめる。
ステューシーやジャック・ジョンソンなど壁には著名人のサインも。
【店舗情報】
開花屋 バイ ザ シー
☎03-3770-0878
渋谷区円山町23-7 星野円山ビル1F
営:月~金11:30~14:00(L.O.13:30)、18:00~23:30(フードL.O.22:30・ドリンクL.O.23:00)
無休
www.kaikaya.com
ペルー料理 荒井商店 新橋
初めて食べるのにどこか懐かしい、魅惑のペルー料理
本誌で連載ページも持つサーファーシェフの荒井さんが腕を振るうペルー料理店。フレンチの名店で経験を積んだのち、料理の研鑽を積むために選んだのは「波がいいから」という理由でペルー(笑)。彼の地で初めて買ったものもサーフボードで、友人に先行きを心配されたそう。スペイン、中国など多様な民族が入り混じるペルーは調理法も食材も多種多様。現地の味をきちんと残し、確かな技で繊細な一皿に昇華させる料理の数々は食通からの評価も高い。
写真は中華鍋であおって仕上げるタヤリン サルタード(コースの中の1品)。夜はコース3610 円~(2人以上)。
「まかないは世界のサーフポイント料理だったりする」と釣りも大好きな店主。酒やお茶などドリンクもペルー尽くし。
店内にはペルーやサーフモチーフの飾り付けが多い。
【店舗情報】
荒井商店
☎03-3432-0368
港区新橋5-32-4 江成ビル1F
営:11:30 ~ 15:00(L.O.14:30)、18:00 ~ 23:00(L.O.22:00)
休:日※不定休あり
http://araishouten.gozaru.jp
ピッツェリア・ラ・ロッサ 武蔵小山
海でパワーチャージした男が作る、職人魂のこもったピッツァ
「毎週、休みの日には海へ。クローズアウトでも、風速15mでも欠かさずに」と話すピッツァ職人の丸山さん。海に入れば頭の中は100%波と自分だけになり、疲れをリセットして町へ帰ってくるという。30 年以上も研究を重ねたピッツァは2 種の小麦をブレンドし、うまみが出るまでじっくり2日間熟成。薪釜で焼き上げた生地はさっくりしているのにもちっ。店の公式サイトでサーフ仲間を募集するほどの海の男が作るピッツァには、熱いスピリットを感じられるだろう。
ナポリピッツァの王道メニューが中心だが、こちらはオリジナルで塩豚に青ネギをたっぷり散らしたジャポネーゼ(1,706 円)
小麦本来の甘みやうまみがしっかり感じられる生地が絶品。
【店舗情報】
ピッツァリア・ラ・ロッサ
☎03-6303-3533
目黒区目黒本町5-33-25
営:11:00 ~ 15:00(L.O.14:30)、17:00 ~ 22:30(L.O.21:30)
休:水(祝の場合は翌休)
https://pizzerialarossa.jimdo.com
ベアポンド エスプレッソ 下北沢
サーフィンとコーヒー、2つのカルチャーの波に乗る
1970 年代の学生の頃、サーフショップのスポンサードを受け、テストライダーをしていた店主の田中さん。当時の波や天候のコンディション、ボードとの関係性を緻密に記したノートを見れば、サーファーとしての進化に情熱を燃やした人だとわかる。渡米後、ニューヨークやノースカロライナのロースターの一員となり、今度は“サードウェーブ”という波の立ち上げを担うことに。そんな田中さんのいれるエスプレッソは、どこか未来が香る新しい時代の味がする。店舗内は駄菓子屋を改装した味のある空間。
冷たいミルクにエスプレッソを合わせたダーティ(550円)。ダークチョコ系からミルクチョコ、ラテへと味が変貌。
貴重な田中さんのノート。
【店舗情報】
ベアポンド エスプレッソ
☎03-5454-2486
世田谷区北沢2-36-12
営:11:00 ~ 15:00(L.O.14:30)、17:00 ~ 22:30(L.O.21:30)
休:火
www.bear-pond.com
十割つけ蕎麦ムラマサ 根津
ビーチカルチャーの気配を感じる、新感覚の蕎麦屋
蕎麦屋の看板は立っているが、なかをのぞけばカリフォルニアスタイルのインテリアで、そのギャップに驚かされる。波の映像や貝殻の箸置き、さりげなく散りばめられた海の意匠にサーファー心がうずきだしそう。茨城界隈でのアフターサーフに、蕎麦屋を巡って研究したという店主の武良さん。蕎麦粉には風味の強い、茨城産の常陸秋蕎麦粉を愛用。十割蕎麦だがするするっとのど越しのいい細麺で、香りも馥郁。夜はひこま豚を使った料理もおすすめ。一番人気の十割カレーつけ蕎麦(972 円)。
ポテトサラダや生ベーコン、ひこま豚のとろける角煮など酒の進みそうなメニューも充実。
海の意匠に目をとめ、ふらりと立ち寄るサーファーもいるそう。
【店舗情報】
十割つけ蕎麦ムラマサ
☎03-5834-7719
文京区根津1-1-19
営:11:30 ~ 15:00(L.O14:30)、17:30 ~ 22:30(L.O22:00)
休:水
http://muramasa-soba.com
写真/末松正義 取材・文/嶺月香里