波と大自然「奄美大島」

日本の九州南端から台湾北東にかけて位置する南西諸島、その北端の奄美大島には美しい大自然が溢れる。透き通るエネラルドグリーンの海に、多様でクオリティの高い波と島のサーフ環境はとても魅力的だ。

グッドウェイブと温かい海、奄美大島を堪能した5日間

九州の南方海上にある奄美大島は、島独自の環境に適応した貴重な動植物が生息し、天然記念物に指定された野生動物も見られる豊かな自然が魅力の島。東京から約2時間半、大阪からは約2時間というアクセスの良さと、温暖な亜熱帯の気候、透明度の高い海、バラエティに富んだ波は、サーファーを惹きつけてやまない。成田と大阪からLCCが就航したことにより、近年さらに人気を集めている。

サーフトリップと聞くと、つい 海外を思い浮かべてしまいがちだが、国内、それも島へのトリップ は、あまり行ったことがないとい う人も多いかもしれない。

かつて、カリフォルニアやオー ストラリアに住んだ経験があるプ ロロングボーダーのマサこと水野 雅透も、そんなひとり。ハワイや バリ、台湾、スリランカなど海外 の島は比較的訪れたことがあるも のの、これまで日本の島で行った ことがあるのは、新島のみ。今回、 マサは日本が誇るサーフアイラン ド奄美大島の魅力を味わおうと、 4泊5日の旅に出発した。

奄美大島は、東京23区よりも大きな面積を持つが、その多くを緑に覆われた山が占める自然豊かな島。比較的なだらかな地形の北部と、山が険しく平野部の少ない中部以南とに大きく分けられる。メジャーなサーフスポットである手広とビラがあるのは北部となり、大きな町や空港も近いので、ステイするのは北部が便利。また、リ ーフブレイクが多い奄美大島において、手広とビラにはリーフに加え、大きなビーチ、つまり砂浜もあるのが特徴となっている。ハイタイドではリーフ側、ロータイド ではビーチ側で、サーフィンができる地形となっているのだ。

短かい滞在ながら多彩な波を味わえ、サーフアイランドの実力にストーク

マサは、出発前に波が小さそうだという情報を得ていたが、南方に雲の塊があり、旅の後半にかけて「もしかしたら波があがるかも」と秘かな期待を持っていた。とはいえ、まずは小波で楽しめるミッドレングスを1本用意。加えてサイズが上がったときのためにシングルフィンのショートボードを持ち込むことにした。

 

さて、波の方はというと、やはり小波で、2日目までは、腿サイズほど。普通のトリップであれば「やることがない・・・」とうちひしがれてしまうところだが、奄美の良いところは、サーフィン以外にも豊かな自然の中での遊びがあることだ。透明度が高くダイバーにも人気の海は、シュノーケリングで少し潜るだけでも、サンゴ礁の広がる美しい世界が見られるし、手広から南部へ1時間ほどドライブすれば、日本で2番目に大きいというマングローブ原生林で、大自然を間近に感じることができる。他にもパラグライダー、釣り、山でのトレッキングと、アクティビティが豊富にある。

一方で、人が多く住む北部で は、のんびりと過ごせるカフェ や、島の食材を使用したこだわり の飲食店、日帰りでも利用できる キャンプ場などがあり、陸の上で の過ごし方にも事欠かない。 3日目を迎えたところで、手広 ビーチで、腰〜腹サイズの波があ らわれた。もともとクラシックな シングルフィンのロングボードを 愛用しているマサは、小波でのサ ーフィンはお手の物である。

と、ここまで小波の話が続く と、前出の大きな波の写真は なんなんだ? ということになるが、そう、この3日目の午後に来たのである。あの雲のかたまりが台風となって。今回お世話になっていた「ペンショングリーンヒル」の緑義人さんによれば、風向きが少し合わない可能性もあるが、サイズがあがることは間違いないという。その言葉どおり、夕方にはスウェルが届き始め、翌日には頭オーバーへとサイズアップ。マサ は、数ヶ所波をチェックしたあとでビラビーチに入ると、広いフェイスに大きな弧を描きながらカービングを繰り返した。

さらに滞在最終日には、波はマックスで頭半ほどに。ウネリと風向きの合うポイントへと向かうと、そこで出会ったのは、リーフにぶつかり一気に掘れあがるパワフルな波。途中速いセクションもあるが、マサはあえてミッドレングスをチョイス。長いレールを活かして加速し、そのセクションをクリアすると、ロングライドを何本もメイクした。奄美大島のリアルな波の片鱗を、幸運にも最後に味わうことができたのである。



水野雅透
みずのまさゆき● 1980 年、神奈川県生まれ 。恵まれた体格を活かし たダイナミックなマニューバーと、かつて暮らしたカリフォルニアやオーストラリア仕込みのモダンクラシックなスタイルが持ち味のプロロングボーダー。自身が主宰するサーフボード&ウェットスーツブランド「バウチ ( V O U C H )」は、今年で11年目を迎える。


写真/Char  取材・文/松永光人