Back to the Beach モデル誕生秘話

今回のモデルを出すきっかけとなった一般サーファーの大介さん(左)とデザイン&シェイプをしてくれた添田知博氏(右)

こんにちは。サーフィンライフ鈴木です。

今回はBack to the Beachモデルが誕生した背景をお話ししたいと思います…。

ある日サーフィンライフに関わっているデザイナーの大介さん(以下、D)から
「実は僕もサーフィンしていたんですよ、15年くらい前まで」という話しをされた時にこのストーリーは始まりました。
私自身(以下スタッフS)、心のどこかで「またまた〜、セールストークっしょ」くらいに思っていたのですがそのやりとりはこんな感じでした。

(D)「自分は元々静波方面に住んでいて、上京するまではサーフィン漬けでした。仕事も波が上がった時に入りやすいように融通がきく仕事をしていて、ホントサーフィン漬けだったんですよ」

(S)「レベルはどのくらいだったんですか??」(心の中では、けっこうマジだな〜でもテケテケっしょ!だけど竹内さん怖そうだし汗 そんな雰囲気は出せないな 笑)

(D)「いゃ〜、横に走って2,3発リップして、フローターぐらいで。お恥ずかしい」

(S)「あぁ〜凄い」(心の中では叫んだ、負けた、コンボだ。女神前で竹内さんがリップしている姿が目に浮かんだ。そして心のなかで謝った。すいませんでした 恥、涙)

(S)「でも何で辞めちゃったんですか?サーフィンを。そんな乗れるのに??」

(D)「上京後は仕事が忙しくなり、食っていくのもしんどかったし。仕事が安定した後は体重も増えちゃって 笑。それで徐々に離れていっちゃいましたね」

(S)「ですよね。僕の周りも仕事(就職)、結婚、子育てなんかで、バシバシサーフィンしていた仲間がけっこう海から離れちゃいました」

(あの頃は当たり前だったオンフィン。FCSが幅広く普及し始める直前ぐらい)
(サーフィンをバリバリしていた頃の大介さん、バキバキのスラスターですね)

(D)「東京から千葉や湘南への距離はそれほどでもないけど、一度離れると億劫で…。実は5年位前に1回サーフィンしたんですよ。当時10年振りに借りたボードで。何センチあったかわからないけど昔乗っていたボードみたいな感じでした」

(S)「どうでした??」

(D)「全然乗れず、ロクにパドルも出来ず、悲しくなっちゃいました。あっこんな乗れねぇ〜んだと。テイクオフも出来ずそれっきりです」

(S) 「・・・」(なぜか安心 笑 。サーフィンってやっぱり難しいんだよな。自分も3週間やらないだけでダメだから10年、15年じゃそうなるよな)

(S)「大介さんももう一回やりましょうよ〜サーフィン」

(D)「ぜひ、やりたいです!!」

(S)「やりましょう!」(心の中では、良くある社交辞令あるあるだよな〜と思っていた)

話しはそこで一旦終わりました。でも改めて考えてみると普段ホームスポットや千葉の海で良く見るカムバックサーファー。なぜカムバックサーファーだとわかるかというと、海の中でパドルが安定せず、まるで乗れていない。でも波を見る目はある(経験値はある)。セットが入るといいポジションにいる人も多い。でも誰かに波を取られている。

共通しているのは、黄ばんだロッカーも強く細身なデザインのボードを始めアンダーフローなボードを抱えており、そんな板じゃ乗れずに楽しくないだろうと思うことが多々あった。もちろん波に乗れなくても海に入ればリフレッシュでき、それはそれでいいと思う。サーフボードは高価だし新調するのは勇気がいる。でもどうせサーフィンをするのなら乗れた方が良い、波の上を滑っている感覚が最高なはずだから。

ここ10年ほどでボードはさらに多種多様になり、巷には色々なデザインのサーフボードが溢れている。だからかえってボードをセレクトするのが難しい時代でもある。ましてカムバックサーファーの方は、ブランクがありその流れについていけなくて当然だ。まさかボンザーまでビッグブランドからも出ている時代なんて5年、10年前は想像できなかったことだから。ちなみに竹内さんはバリバリのスラスター世代。そのため、クアッド設定ができる現在の5プラグを見て驚いていた。

そんな状況もあり、それならば発信力のあるメディアがボードをプロデュースしたら面白そうだな。っということで今回の企画がスタートした。大介さんの真意も確認しないままに(その後、もちろん強引に!?企画を快諾していただきました)。


(現在はデザイナーとして自ら会社を持つ大介さん。本誌サーフィンライフやウェブのデザインを始め多岐に渡り協力してもらっている。Back to the Beachモデルと共にサーフィンに本格的に復帰するその模様はウェブや誌面でもお届けする予定)

ただ、サーフボードに関しては素人に毛が生えた程度の知識しかない。まずは協力してくれるデザイナー&シェイパーのプロフェッショナルを探さなければと考え…。

ポイントは今カムバックサーファーの中心は40代-50代(鈴木調べ)。それならば、40歳くらいの密にコミュニケーションを取れるシェイパーさんがいいぁ〜と。ということでソエダサーフボードの代表、添田知博さんに相談。企画趣旨を伝え、快諾してもらいました。ワガママな要望を多々伝え、同世代がまた海へと繰り出したくなるようにと様々なことを考えこのボードが誕生しました。

多岐にわたるポイントの中で1番注目したのは浮力。日本人で特にポテトチップス世代(サーフィン界の帝王、ケリー・スレーターなどモーメンタム世代のサーフィンにリアルタイムで刺激を受けた方々)は、サーフィンをしていたのが画一的なパフォーマンスボード一色だった時代。180cm以上の長さがあっても厚みは5.2-5.7cmと薄くトライフィンオンリー、プロや上級者でないと、また波の力がないと乗りこなせないものばかりだった時代。

そのイメージがカムバックサーファーはブランクも重なり未だに色濃く残っているように思う。それが当たり前だったわけだから。

それともうひとつ思い出したのが、海外の著名シェイパーが言っていた「日本の海でサーフィンをすると、小さいボード、薄いボードに乗っている人がまだまだ多く感じる。もちろん技量があればいいと思うけど正直、そのレベルに達していない人も多い。波もエクセレントだとは言えないわけだから、もっとファンに楽しめるボードに乗ればいいのに」、「まるで海水浴だね 笑」という言葉を思い出した。

乗らなきゃ意味ないよ!なので、やっぱり浮力を出すために長さや、幅、厚みが必要だ。ただ、長さの部分はファンボードの様に長くするとエレベーター、電車などに乗らない、保管に困るなど日本の住宅事情を考慮、実用的な部分ともう一つ大事なこととしてカムバックサーファーの方のなかで良く聞く、もう一度ショートボードに乗りたいという気持ちの2点を考慮し、あくまでもショートボードレンジにこだわって開発した。

長々と書いてきたが、こういった経緯を話しつつ、添田さんにデザイン&シェイプを依頼。ボードバランスを考えて、何度もマスターデータを作り直してもらいようやく完成したのがBack to the Beachモデルという訳です。


愛着のあるボードもいいけれど、週末をはじめとする限られた休日のサーフタイム。この1本を手に入れればキャッチできる波が増え新しいサーフィンライフが待っていると思う。
もちろんビギナーから短いレングスは中級者以上でも満足な1本となっているのでぜひ、チェックを。