サーフィンライフ アーカイブ Vol.41 2005年11月号:サーフィン史に残るライバル関係、ケリーvsアンディの名勝負 in JAPAN

今年も残すところ僅かとなりました。年の瀬は、今年一年や昔を振り返るのにちょうどよい時期。たった1日違うだけなのに、大晦日/元旦って、日本独特の雰囲気があっていいですよね。という事でサーフィンライフの、また、世界のサーフィン事情を振り返る不定期連載サーフィンライフアーカブでございます。温故知新。

振り返るは2005年10月10日発売11月号。この年は当たりコンテンツが多く、この号も非常に売れました。特集は、もう、表紙見ればわかりますよね。最後に日本で開催されたWCT「QUIKSILVER PRO JAPAN」〜”マリブ、AGAIN”。2004年はアリーラウンドがクラシカルポイントのマリブで行われたのですが、この年はファイナルもマリブ。台風14号からの強烈なウネリが千葉に奇跡の波を届けてくれたのです。カバーショットはファイナルヒートからアンディ・アイアンズのパワーハックから〜のレイバック。このボードショーツ覚えている方も多いのではないでしょうか。実はこの年に日本だけでなく、世界で一番売れたのはこのボードショーツなんですよ。そうそう、ボードのchillも流行りましたね。


ファイナルは誰もが望んだ、サーフィン史上で最高のライバル関係といわれる、ケリー・スレーターVSアンディ・アイアンズ。この年は最終的にケリーがワールドタイトルを獲得するのですが、接戦に次ぐ接戦で、その姿はお互いがお互いのサーフィンの限界をフィジカル的にもメンタル的にもプッシュアップしているかの如し。これより前に両者の間にあった険悪感を乗り越え、本当の好敵手になったというのが印象でした。この年のケリーのワールドタイトル獲得への軌跡がムービー「Letting GO」で描かれていますので必見なんですが、もうさすがに売ってないかな。持ってる人は永久保存版ですよ!その中の3Xチャンプ、マーク・リチャーズの言葉が深い。「ツアー(ASP WCT)はハッピーーキャンパーの集まりじゃないんだ。みんなで楽しくなんて、冗談じゃないよ。良きにせよ、悪きにせよ、ライバル関係は絶対に必要なんだよ。ケリーとアンディのようにね」。
やはり世界のトップサーファーのボードが気になるのは今もこの頃も同じ。アンディやミック・ファニング、ブルースにケリーのバッキバキのハイパフォーマンスボードを取材。アンディ、ミックの取材は糟谷修自さんにナビゲートしてもらいました。修自さん、その節はありがとうございました。

下の写真でケリーが乗っているボードは日本を代表する世界的トップシェイパーの一人、「Y.U」こと植田義則さんのシェイプ。向かって右側のレール後方にシェイパーロゴが入っていますね。では、ここでこれに纏わるエピソードを。ケリーがこの年の乗っていたのが、ご存知、当時のスポンサーでもあったチャネル・アイランズの、もちろんアル・メリックシェイプ、ではなくスラスター考案者のサイモン・アンダーソンのシェイプボードだったのです。というのも、アルさんの体調があまり芳しくなかったのが、その理由。その代わりといっては何ですが、サイモンに頼んだボードなんですが、コレがまたマジックボードでケリーの快進撃を支えます。(事実、この年の殆どをサイモンシェイプで戦っています)。日本は他の開催地に比べ、波が小さいと判断したケリーは、親交の深いバリニーズのリザール・タンジュンを通して日本用のボードをオーダします。そう、リザールはY.Uライダーだったんですね。ここからは、実際サーフボードを手渡した時の話。オーダーの入ったボードを千葉・志田下ポイントで手渡した植田さんですが、ケリーは無言のままその中から一本をチョイス、早速フリーサーフに向かいます。海から上がってきたケリーですが、表情はいたって普通、むしろ少し険しい感じにも見えたそうです。そのまま植田さんに向かって歩いてきたケリーは一言、「Felln’ Good」と笑顔を浮かべて言ったそうです。なんともケリーらしい、少し天邪鬼な感じもしますが、その後も部原でも乗っていましたから、本当に調子良かったんですね。ただし、アンディとのファイナルは予想を上回るサイズのマリブでしたので、サイモンに戻していました。


ワイルドカードでの出場で、デーン・レイノルズも来日しました。もちろん、インタビューを敢行。ポートレートの撮影場所はサンドラ下でございます。


当時の「RUSS-K」の広告より、イメージキャラクターを勤めていた坂口憲二さん。彼の登場まで、ここまで真剣にサーフィンをやっていて俳優さんはいなかったんじゃないですかね。インタビューを担当したんですが、本当、根っからのサーファーでした。その後、怪我の治療により長い間サーフィンができなったようですが、また最近始められたよう。また海でお会いできるのを楽しみにしています。