この時期にもお世話になるウェットスーツ、着心地のヒミツ

こんにちはスタッフの鈴木です。
かれこれ10年以上に渡り、サーフィンライフに関わらせてもらっています。
仕事柄、ボードのファクトリーでシェイプやグラッシング、どんな材料からサーフボードができているのかを見たり、ウェットスーツのファクトリーに伺ったりと様々なプロダクトの裏側を見る機会があります。

先日初めてウェットスーツのスポンジの原料、製造工程を見る機会がありました。
さすがにこれは初めての経験で、テンションが上がりました。

私自身、真夏でもタッパや急激な水温低下でジャーフルを使用するなど春、秋冬はもちろんのこと年中お世話になっています。みなさんもご存知の通り、日本で作られたウェットスーツは柔らかくよく伸びて着心地が抜群、世界的に高く評価されているのは周知の事実ですよね。その着用感はサーフィン界のアイコンも、ワールドツアラーも、海外のセレブサーファーたちも虜にするほど。
人気の秘密はプロダクトはもちろんのこと、マテリアルも国産で優れているということ。

写真はウェットスーツのスポンジの原料の一部(写真左、中央)です。
ウェットスーツに使われているのは、クロロプレンラバー(通称CR)のスポンジ。
(なぜ、スポンジというのだろうか?と疑問に思う方も多いハズ。それはゴムのなかに微細な気泡が沢山含まれているためそう呼ばれています)
石の様なクロロプレン(写真左)とカーボン(中)を中心に様々な原料を配合、練り、熟成、加硫(焼き上げ)とまるでパン作りみたいな工程を経て(写真右)のスポンジ(CR)が作られます。
配合や練り、加硫の加減で性質にかなりの違いが出てしまうほど繊細。ここから規定の厚さにスライスされ、裏地をつけてラバー素材、両面に生地を張り合わせてジャージ素材になり、ウェットスーツファクトリーに出荷されます。高品質なマテリアルはクラフツマンにより裁断、縫製等の工程を経てウェットスーツは我々の手元に届くのです。

普段何気なく着ているハイクオリティなウェットスーツ。それは日本のスポンジメーカーなど材料を供給する側の飽くなき探究心もその品質の高さを支えています。そもそもCRは高品質を保つことが非常に難しいと言われており、焼きたてのパンと古いパンでは味や膨らみが違うように、時間の経過とともに収縮と硬化が進むため大きさと柔らかさに違いが出るとのこと。このためスポンジを作る「スポンジメーカー」や「サプライヤー」さらに「ウェットスーツメーカー」もそのスポンジが「いつ作られて」、「どの程度熟成されているのか」を意識して使用していると関係者の方に聞きました。驚きのコダワリですよね。

多くの人々が関わり、プライドを込めて作られる1着。海外だとカスタムオーダー品はなかなか手に入らないので、プロサーファーでもない我々がオーダースーツを始め高品質なウェットスーツを着られるのはとても恵まれていると言えます。そんな1着は大事に使用していきたいですね。

CRの製造現場潜入は、またの機会にアップします。


撮影協力/株式会社トータス、ナショナル護謨株式会社 撮影/熊野淳司