幻のブランクス。もう二度と手に入らない!?クラーク・フォーム製のサーフボード。

サーフボード製造に欠かすことができないブランクス(サーフボードのコア部分を形成する素材)。そんなブランクスで世界一有名なのは、今は亡きクラーク・フォーム社といえるでしょう。

クラーク・フォーム社


カリフォルニアで1961年に創業して以来、アメリカのサーフボードのブランクスの約80%以上を供給してきたといわれ、世界的にみてもほとんどのサーフボード製造国の市場を独占していたと言っても過言ではないクラーク・フォーム社。ところが2005年12月5日に突然工場を閉鎖、サーフインダストリーは騒然となった。まるでサーフィン版ブラックマンデーの様に。何と言ってもサーフィンの中心地アメリカにある最大のシェアを誇るブランクスメーカーが突如閉鎖したので、ボードの値段は上がるは、ブランクス争奪戦が起こるは、かなり色々な動きが当時はありました。

クラーク・フォームはここがスゴかった!!


サーフィン創世記より使用されていた材料のレッドウッド(木材)などのサーフボードは重く、加工も難しかった。シェイパーは固く重いウッドボードを悪戦苦闘しながら削りました。それはシェイパーというよりまるで宮大工さんのように。
そこでゴードン・クラーク氏がポリウレタン製(PU)のブランクスを開発。クラーク・フォームがここまで支持されていた所以は、長年培われてきた発泡密度に関する秘伝の調合レシピや、多くのレジェンドサーファーと一緒に考案した数え切れないほどの、精度が高い金型、そしてシェイパーにとって一番重要だと言われる削りやすさでした。
(まとめると1.ハイクオリティ(発泡密度が一定)2,豊富な金型でモデル展開が豊富 3,比較的安価に提供されていた 4.ブランクスの段階ですでにロッカーなどがつけられていた 5.削りやすい)
閉鎖にともない金型や調合レシピは破棄され永遠に同じものは作れなくなったと言われています。

※閉鎖された理由は政府規制当局の規制や環境にインパクトが大きいなど色々と噂はあるが正確な詳細は不明。
※今現在では新たに登場したブランクスメーカーなどにより安定的に、さらに進化しているブランクスがマーケットに供給されている。

木材と違いPUはブランクス自体に細かな気泡があり強度としなりがサーフボードに理想的だと言われ、加工も容易で軽量なため今現在も多くのサーフボードの材料として使用されているのは周知の事実。このPUがなければサーフィンの発展はシェイピング的(削りにくく重く作業効率が悪い)にも、サーフィンの技術的(重いボードでエアーなどのハイアクションは難しいでしょう)にも大きく発展が遅れていたことでしょう。
サーフィンの発展に大きく貢献したのがクラークさん=クラーク・フォームなのです。これはサーフィン界にとっては白熱電球を開発したエジソン並みの凄いことと言えます。

そんなクラーク・フォームの1987年当時のカタログが!


そんな同社の1987年当時のカタログがソエダサーフボード・ジャパンのシェイプルームに。(トップの写真がそれです。)まさに垂涎のお宝。
もしかしたらデッドストックのブランクスもあるのかもしれません(勝手な私の想像です)。

歴史あるファクトリーには密かにデッドストックのクラーク・フォームのブランクスがとってあると言われています。都市伝説なので確認したわけではないですが、多くのサーフボードブランド、シェイパーにとってそれほど大きな存在だったことは言うまでもありません。もしデットストックのブランクスがある場合は、どんなボードになるのか、またはブランクスのままとっておかれるのか??何か情報をお持ちの方は鈴木までご連絡ください笑。

私の持っているボードにクラーク・フォームのボードがあります。
2度と手に入らないので大事にしようと思っています。

※他には主なブランクスの種類として、EPS(ポリスチレン製)がある。PUよりも比重が軽く軽量。軽いので、巻きをしっかりさせても重さがPUと変わらないことから強度も出しやすい。またエポキシ樹脂でグラッシングするので、強度がさらに高くなるという。近年ではPUブランクス、エポキシ巻きなどもあるがEPS素材をPUと同じポリエステル樹脂でグラッシングすることはできない。


写真/文 スタッフ鈴木 写真は現在の住所とは違う電話番号、住所などが載っているため一部修正しております。