オーバーフローのススメ(サーフボード)。


例えばスーパーカーを手に入れたとする。アクセルを踏み込めばそのスピード性能を直ぐに体感できることだろう。でもサーフボードはどんなに高性能な1本でもテイクオフ、自分で加速させる(特にショートボード)、そして波の力を最大限に利用できるパワーゾーンと言われる場所にいなければ、本来のボードの性能(マキシマムなスピード、ボードの反応の良さ)を体感することはできない。要は自分で性能を引き出さなければいけないということだ。憧れのプロサーファーのモデルや短くシュッとした高性能なマシンは、やっぱりかっこいいし憧れる。でもそのマシンを乗るにはそれなりの技量が必要なのは容易に想像がつく。

ある外国人シェイパーが言っていた「日本の海でサーフィンをすると、小さいボード、薄いボードに乗っている人がまだまだ多く感じる。もちろん技量があればいいと思うけど正直、そのレベルに達していない人も多い。波も豊富だとは言えないわけだから、もっとファンに楽しめるボードに乗ればいいのに」
かくいう私もそのひとりだ。基本的にショートボードが好み。その時のメインボードは身長173cm体重64キロで5’9″×18 3/4″×2 1/4″(175cm×47.6cm×5.7cm)※1  25ℓ。当時は周りにパドルで負け、ポディショニングで負け、キャッチできる波は1時間に数本という状況だった。ショートボードの醍醐味は自分で加速させれることと、アクションした際の気持ち良さだと思っている。でもそこに到達するには波をキャッチし、テイクオフ出来なければはじまらないのにやれ長さは5’9″だ厚みは5.7cmだと言っていたわけだ。もちろん波が良ければ楽しめるが、多くはコンディションが整わないこと、小波の方が多いのが現実。

私自身、下手くそなりに多くのサーフボードに乗ってきた。今現在11本ほど短いのから長いのまでサーフボードを所有しているけれど、主に乗るのは5本、その中でレギュラーボードは2本。小波、いい波時用のミニシモンズ5’4″(162.5cm)と5’5″(165cm)の5プラグのボード。2本ともにオーバーフローなボードという以外共通点はない。ミニシモンズは32Lほど5’5″は数値がないけれど27.5L前後だと思われる。以前乗っていたのは適正とされた25Lなので、明らかに以前よりも大きくオーバーフローだ。でも乗ってみて感じるのは、波をキャッチする回数が増え格段にサーフィンが楽しくなったということ。上達した気もする(本人談 笑)。。

サーフィンというスポーツ(趣味)は、プロからその日にサーフィンを始めた方まで千差万別のレベルの人々が同じスポットで楽しむ、とても稀なスポーツだと思う。波が豊富にあったり人が少なければいいけれど、そうでなない場合は、プロやサーフィンが上手い人、周りの人達とパドルバトルで勝利しなければ(波を探す目など他にも重要なことはあるけれど)波をキャッチできない。サーフボードにその助けを請うというのは至極真っ当なことだと思う。初心者やあまりサーフィンをする機会を得れない人々ほどサーフボードに力を借りなければならないのだ。

ロングボードなど長めのボードもいいけれど、取り回しやマンションのエレベーターに乗るのか不安、今の自動車に入らない、電車で通えない、重いなどの理由でやっぱりショートボードが良いという声を多く聞く。私自身もログもミッドレングスも好きだけれど、やっぱりショートボードをメインに乗っていたいと思っているフシがある。
しつこい様だが、サーフィンは波をキャッチしテイクオフしなきゃはじまらないのだ。立ってから、そこからが楽しいので、最重要はパドルとテイクオフ。だからボードに助けてもらおう。次の1本は長さや幅、厚みにとらわれすぎずいつものボードよりちょっとだけオーバーフローで作ってみてはいかがだろうか。プロや上級者と波を取り合うのが無理でも、波をキャッチできる回数が増え満足いくライディングも倍増すると思う。

※1 5’9″×18 3/4″×2 1/4″(175cm×47.6cm×5.7cm) 長さはボトムを図るのが一般的だがブランドによってはデッキを測るところもあるとのこと、幅は一番広いところを計測、厚さは一番厚いところを計測した数値(通常はセンター付近かつボードの真ん中あたりが一番厚く、レール部分はセンターに比べ薄い)


「サーフィンライフ 完全別注 オリジナルサーフボードがついに販売!」
最近、カムバックサーファーと思われる方で、黄ばんだノーズがトンガリ、薄く、ロッカーが強めのボードを持っている方を良く見かける。愛着のあるボードもいいけれど、週末をはじめとする限られた休日のサーフタイム。この1本を手に入れればキャッチできる波が増え新しいサーフィンライフが待っていると思う。もちろんビギナーから中級者でも満足な1本となっている。ぜひ、チェックを。


撮影/文 スタッフ鈴木 撮影協力/ソエダサーフボード・ジャパン
ここに記載されている内容はあくまでも個人的な意見です。予めご了承ください。