ボードファクトリーは足元にご注意を。

サーフボード ファクトリー グラッシング アート
(綺麗な造形美、偶然の織り成すアート)
こんにちは。学年に最低2〜3人いるありふれた名字のスタッフ鈴木です。
今日は、サーフボード・ファクトリーで生まれるアートについて書きたいと思います。

サーフボード…これがないとサーフィンははじまりません。
私自身、サーフボードを作る工場「ボードファクトリー」に行くのが大好きです。ただ、一般的には知り合いでもいない限り立ち入れませんよね。ファクトリーごとの企業秘密も多数あるため自由に出入りできるところは少ないはずです。というより仕上がった商品のボードをお店で購入するので、ファクトリーに行くことはないですよね。
ボードが出来るまでの工程はおおよそ下記の3つに分けられます。

サーフボードの製作工程は大きく分けると
①.シェイピング シェイパーがブランクス(発泡材)を削る
②.グラッシング 削り終わったブランクスに強度を出すためガラスクロスを巻き、樹脂を流して表面を固める
③.サンディング グラッシングする際に出た余分な樹脂を削り磨きあげる

最後に厳しい検品をして出荷されます。
言葉で言うのは簡単ですが、すべての工程がめちゃくちゃ難しくて繊細。
各工程で職人さんの高い技術、経験(検品を含め)が必要です。

ファクトリーにお邪魔まするなかでサーフボードのアウトラインや製作工程やとともにいつも気になってしまうのが零れ落ちた樹脂の造形美。②の工程でグラッシングルームと言われる場所にそれはあります。

樹脂とガラスクロスで巻く際のウマと呼ばれる作業台や床には、ティント、ピグメント(注)の樹脂がクリアの樹脂とともに重なり、とても綺麗で”もはやアート”の領域なのです。
あらかじめダンボールなどで床の上はカバーされており、この零れ落ちた樹脂たちはある程度重なると、作業の邪魔(グラッシングする際のフットワークに影響するため)になるために、ダンボールごと外されて破棄されます。なんとも儚い期間限定、二度と同じものはできない芸術なのです。

ボードファクトリーの足元には偶然が織り成すアートがある、最近はファクトリーツアーをしているボードブランドもあります。もしボードファクトリーに行った際は、シェイピングとともにグラッシングルームの足元にも注目してみてくださいね。

(注)
ティントとは微妙に透けて見えるよう透明感のある顔料(塗料)で着色したもの。ストリンガーが透けて見えることが多い
ピグメントとは透明感のない顔料(塗料)で着色したもので、ストリンガーが見えなくなるのが特徴。重厚な雰囲気になる
両方ともに樹脂に混ぜられコーティングされる。着色にはエアブラシで吹く方法もあり、こちらもスタンダードな着色方法だがガラスクロスを巻く前に施される。
サーフボード ファクトリー カラー ティント ピグメント

サーフボード グラッシング ロックダンス マスターワークス
(グラッシングをする職人”マスターワークス由利”さん。高い技術と集中力を必要とし、マスクで呼吸もし難く体力も必要な工程だ)

サーフボード グラッシング ロックダンス マスターワークス
(色巻きのカラーの色味の調整が特に難しいとのこと。固まると色も微妙に変わるのがその理由)

サーフボード グラッシング ロックダンス マスターワークス
(床の上にダンボールなどを敷詰めて掃除を簡単にしているファクトリーが多い(鈴木調べ)。そのためこのアートは期間限定)
撮影協力: マスターワークス(ソエダサーフボードジャパン)
撮影/熊野淳司板倉淳夫、鈴木