#7STEPH,7度目のワールドタイトルを手にしたステフことステファニー・ギルモアの凄さ

                      (写真/熊野淳司 )


<動画:WSL>
今年のWSL CTウィメンズはメンズより一足さきに11月ハワイ・マウイ島 ホノルアベイで全日程を終了。
最終戦の優勝はカリッサ・ムーア( HAW)、年間チャンピオンは7度目の獲得となるステファニー・ギルモア(ステフ)となった。

ステフは2007年、ルーキーシーズンで女王の座にのぼりつめ、2010年まで4年連続でワールドタイトルを獲得、その後も2012年,2014年そして今年2018年とクイーンの座に輝く。7度目のチャンピオン獲得はレイン・ビーチェリーに並び過去最多タイの偉業だ。

エアーや男子顔負けのパワーサーフィンをみせるサーファーも多いなか、ステフはスムースかつ女性らしいしなやかなサーフィンに洗練されたパワーもプラスされており女子サーフィン界を引っ張るアイコン的な存在。

来シーズン、復活するタイラー・ライト、カリッサ・ムーア、レイキー・ピーターソンなどとワールドタイトル獲得を争い8度目のチャンプを目指すことになる。獲得すれば前人未到、最多タイトルの記録更新がかかる。

彼女の強さの秘密は….
彼女が当時ワールドツアーに上がる前の16歳の時に観戦したロキシープロにてこんなことを考えていたという

『私なら、誰にも負けるはずがないわ。言い過ぎかもしれないけれど、あのプロ達より10倍は上手なはずよ』

その負けず嫌いなところはトップアスリートには間違いなく必要なことだけれど、トゲトゲしい感じはなくハッピーのあだ名からわかる通りステフは笑顔がよく似合う(実際、翌年のロキシープロでルーキーながら優勝しているのが凄いところ)

強さの秘密はこんなコメントを周囲が聞いてもおごった感じを受けない、気分を害することがない稀有な性格にあると思う。どんな状況でも笑顔を絶やさず、楽しむこと。単純なようでなかなか出来ることではない。
もし強気な発言を繰り返し、コンペティティブなだけだったら人を遠ざけてしまい孤独になるだけだ。
彼女のパーソナリティが人を惹きつけ、周りもサポートすることによりさらにステフの力強さが増しているように思う。(もちろん彼女も人間、ナーバスになるだろうし、落ち込むこともあるだろうけれど)

3度目のタイトル獲得後には唯一の弱点、ビッグウェイブとアグレッシブなサーフィンに磨きをかけ4度目のタイトルを獲得。2010年のタイトル獲得後、年末に鉄パイプを持った男性に殴打され6週間の怪我と心の傷を負う。無差別での犯行にも取り乱すことなく
『強い気持ちで乗り切って復活への道のりを歩もうと思うわ。フィジカルだけでなくメンタル面も整えて、6週間後に海へ戻るのがとても楽しみよ。家族や友人のサポートを受け、ゆっくり休んで年明けから再出発するわ』
と精神力の強さをみせつける。
2011年はこの影響もあったのか3位に甘んじ初めてワールドタイトルを逃したが、2012年はリベンジを果たし14年もタイトルを獲得、そして今年久々にタイトルを奪還した。10代、20代のサーファーが台頭し30代のウィメンズプロはほとんどおらず一見すると不利に感じるのだが、常に限界をプッシュしつつも笑顔を絶やさない最強クイーン、さらに人々を惹きつけステフの進化はまだまだ続きそうだ。

間違いなく数年以内に最多記録を更新、8度目の栄冠に輝くだろう。


<動画:STAB>


<動画:Dear Sylvia, love Steph./stephgilmore.com

ステファニー・ギルモア●1988年1月29日生まれ。オーストラリア・ニューサウスウェールズ州キングスクリフがホームタウン。2005年、17歳の時にワイルドカードで出場したCTイベントで初参戦、初優勝するなど、10年以上に渡りウィメンズCT界を牽引する存在。コンペティションはもちろん、シングルフィンやツインフィンを乗っても優雅なスタイルで見るものを魅了する。サーフィン界のキングがケリー・スレーターならステフはクイーンだと言えるだろう。また、ギターの腕前も相当なものでメーカーからサポートされるほどの実力。トム・カレンとのセッションなども話題になった。
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文/スタッフ鈴木 引用:WSL、STAB、stephgilmore.com 写真/熊野淳司