リラックスサーフタウン日向プロジェクトでのPR動画で注目を集め、さらには今年の10月に世界の女子トッププロサーファーたちが一同に集まる女子プロサーフィン国際大会white buffalo HYUGA PRO QS3000が開催予定である宮崎県日向市。全国屈指のサーフタウンとして盛り上がり続けるこの地をピックアップ。

この記事の目次

「リラックス・サーフタウン日向」とは？

「日向市はサーフィンをもっとアピールすべき」

ある年の市民調査で多数の声が寄せられた。港湾都市として栄えてきた日向市には、絶景やパワースポットなどの観光資源も多い。しかし世界に誇れる魅力は「波」だった。

そこで温水シャワー、駐車場、トイレ、ロッカーなどを整備し、意見交換の場を作り、予算も徐々に増やしていった。最初のブレイクスルーは、２０２０年東京オリンピック・パラリンピック計画。宮崎県県北広域サーフィン協会や商工会議所が会場招致に手を挙げ、それを行政が後押ししたことでサーフタウン化は加速したという。　また、情報発信のパートナーに公募で選んだ広告会社が「ヒュー！日向」キャンペーンを展開。PR動画は当時再生回数86万回を超え、権威ある広告賞も受賞した。失恋した男性がサーフィンに出会い変貌を遂げる物語なのだが、後日談がある。撮影スタッフの女性が出演サーファーと恋に落ち、実際に日向に移住したことも話題になった。

■「ヒュー！日向」公式ホームページ：http://www.phew-hyuga.jp/
■公式インスタグラムアカウント：https://www.instagram.com/phew_hyuga_pr/?hl=ja

波、景色、食べ物、人に触れて日向に魅力を覚える人は多い。しかし「来てもらわないことには何も始まりません」と日向市総合政策課の麻田氏はいう。

高速道路は延びたが、LCCが就航し、フェリーも毎日運行している宮崎市から1時間近くかかる日向には、遠いイメージがつきまとう。そこで情報ツールを駆使し、移住相談や滞在施設の整備なども行った。「来訪者も移住者も確実に増えています。」と、同市観光交流課の葉上氏は胸を張る。おかげでサーフィンは町のお年寄りから理解され、子どもたちの身近で憧れるスポーツにもなったという。今や地方創生の成功例に数えられる日向市のサーフタウン構想。その背景には、日向の「リラックス気質」がある。海岸利用を阻む法律や施設管理が抱える赤字、マナーの悪いビジターなど課題も多いが、関わる人々は一様にポジティブだ。このなんとも朗らかで懐の深い人柄と人々のつながりが、町の空気となっている。この心地良さ、サーファーなら、きっとわかるだろう。

ショートとロングのエリアを明確に分けたことで、お互い気兼ねなく楽しめる。暗黙の了解ではないのが日向流。

良質な波が待つ日向3大ビーチ

伊勢ヶ浜

日向らしい景観、透明な海、混雑知らずの穴場ポイント

「日本の海水浴場88選」や「日本の快水浴場百選」にも選ばれた伊勢ヶ浜。龍神伝説の残る大御神社の北側にあり、日向岬特有の柱状節理に挟まれた湾状のビーチだ。

日向のなかではサイズアップしにくいポイントながら、うねりが入ったときにはクリアなセットがきれいに割れることも多い。北寄りの風が強い日など、タイミングが良ければ驚くほどのロングライドが味わえる。ただし強烈なカレントが発生したり、インサイドでホレホレになったりと、危険なコンディションの日もあるという。「ほとんど混むことはないし、とにかくメローで気持ちのいい場所です。波がない日や海水浴シーズンは隣のお倉ヶ浜に行けばいいし、日向ではだいたいいつでもサーフィンが楽しめます」というのは、伊勢ケ浜でセレクトショップ「グリングラス」を営む草野さん。「ビーチのすぐ近くに駐車場やトイレ、シャワーがある環境は快適ですよね。それに荘厳な大御神社と伝説の龍神に守られている雰囲気も好きなんです。ここは自然が豊かで神話にも出てくる特別な町。最新の研究によれば、伊勢の……」と、話は長くなるので、興味のある人は「グリングラス」に直接話を聞きに行ってみよう。

カフェ＆リラクゼーショングリングラス

リラクゼーションサロン、サーフショップ、カフェを融合させたセレクトショップ。延岡出身のサーファー稔啓さんと福岡出身の志穂さん夫妻が笑顔で迎えてくれる。

日向市伊勢ケ浜186-25　☎0982-95-0194営業時間：10:00 ～ 19:00　木曜休
公式ホームページ：www.greengrass0982950194.com

お倉ヶ浜

他に類のない秀逸ポイント良質な波が〝余ってる！〞

「高速道路の開通でリピーターが増えました。これほどコンスタントにいい波があって便利な場所はそうありませんから。のんびりした雰囲気もいいですよ」と話すのは、ＪＰＳＡプロツアーで活躍後、カリフォルニア修行や日本一周サーフトリップの経験もある伊久良城二プロだ。世界各地の波を見てきた彼のホームがお倉ヶ浜。ポイントが連なる日向の海岸線において、数々の国際大会が開催されるなど、メインビーチの役割を果たしている。初心者もエントリーしやすいメローな波が多い一方、エキスパートを唸らせるビッグウェイブにも出会える。しかも波があまっている。ただし「ＧＷとお盆は駐車場が村みたいになります」というほどの混雑ぶりを見せるらしい。「宮崎県はハワイ、オーストラリア、カリフォルニアを融合させたような雰囲気のあるコーストラインが魅力です。なかでもお倉ヶ浜は、以前からポイントをオープンにして、みんなでサーフシーンを盛り上げてきました。有り難いことに行政や地元市民の理解によって環境整備も進んでいます」恵まれたサーフ環境は波だけでなく、サーフをしない地元の人の理解によっても築かれているのだ。

サンライズサーフショップ

ショップ、レンタル、スクールなど、なんでも相談できるプロショップ。オーナーの伊久良プロは宮崎県県北広域サーフィン協会理事長、パタゴニアアンバサダー、スポーツ少年団コーチと多彩な顔を持つ。
日向市平岩10873-9
☎0982-56-2609　営業時間：10:00 ～ 19:00　不定休
公式ホームページ：www.sunrise-surfshop.com

旅の駅はまぐり碁石の里

１階は日向の特産品が並ぶ物産館と囲碁ミュージアム。２階にはハマグリ料理専門店を併設。オリジナルの日向夏ドレッシングは、お世辞ぬきで美味！
日向市平岩8491　☎0982-54-7373　営業時間：9:00 ～ 18:00　年中無休
＊食事11:30 ～ 14:30　火曜休（祝日の場合は翌日休）
公式ホームページ：www.mitsuishi.co.jp

金ヶ浜

どこよりも先に反応する上達を導く独特のブレイク

お倉ヶ浜と並び日向を代表する金ヶ浜は、パワフルなビーチブレイクが特徴。混むことがほとんどなく、平日は独り占めできることも。南からうねりが入れば、グッドシェイプのロングウォールに出会えるという。南側の岩場付近を除けば初心者も十分楽しめる。

そんな金ヶ浜に中学生の頃から通いつめていた窪田聡プロ。四国やハワイで研鑽を磨いたビッグウェイバーが、再び金ヶ浜をホームとした理由とは？ビーチを見下ろすロケーションにあるショップ「オンザビーチ」で話を聞いた。「サーフィンを始めてから、ここと今はなき耳川ばかりで入っていたので、店はここしか考えられかったですね。他と比べて人が少ないし、横波が入ってちょっと難しい感じも好きで。すごい練習になりますよ。それに常に波があるので、大会にも向いています。金ヶ浜で毎年行われる全日本医科歯科学生サーフィン選手権は、33回目ですからね。あと、日向では金ヶ浜が一番うねりに敏感なんです。他が小さいときも、ここならできることが多いんですよ」大きすぎることもあるが、良質でパワーのある波がコンスタントに味わえる金ヶ浜は遠方からも訪れる価値があるということだ。

オンザビーチ

絶好のロケーション、広々とした店内、おっとり口調で何でも相談に乗ってくれるオーナーの窪田プロ。日向の良さを凝縮したようなショップには、レンタルやスクールも充実。
日向市平岩金ヶ浜2220　☎0982-57-2548営業時間：9:00 ～ 17:00　木曜休
公式ホームページ：http://onthebeach.jp/