2011年3月11日14時46分。東日本大震災からから9年の時が過ぎても鮮明に思い出される記憶。今年は新型コロナウィルスの影響で追悼祈念式典の中止が相次いでいる。それでもこの日を迎える度にありふれた日常の大切さ、サーフィンできるということの喜びを怪我や病気などをのぞいて初めて感じたサーファーも多かったのではないだろうか。我々がいつも楽しませてもらっている海が豹変。津波により多くの命を奪ったあの日、慣れ親しんだサーフスポットが一瞬にして破壊され、原発事故により海に近づくこともできない地域もあった。スタッフ鈴木自身もサーフギアカタログ制作の真っ只中に会社で揺れに襲われ、テレビがない状況でインターネットを通して伝えられてくる悲惨の状況に言葉が出なかった。このままこのギア・カタログやサーフィンライフ を作ることに意味があるのかさえわからない。社外に出れば買えないガソリン、カップラーメン、計画停電、いつ終わるのかがわからない原発事故の不安。直接的な建物の被害がなくともここまで精神的に追い詰められるのだから被災地の方々はさらに辛い、困難な状況に置かれていたのは容易に想像がつく。それからサーフィンをする余裕がなく、する気にもならず時間が過ぎ、久々に入水したのは5月に取材で訪れた御前崎だったと記憶している。いつまでも海に入らず、自粛ばかりしていてはダメだと思い同僚と3人で、コンディションの良くないオンショア小波で一所懸命に波を追いかけた。不思議と海から上がると心地良い疲労感と気持ちが晴れやかになったのを覚えている。
サーフィンを楽しむ我々は、海で被災する可能性もある。震災から月日が経つ忘れがちなのが、普段フィールドにしている海でサーフィン中に津波の危険が迫っている時の行動だ。大きな揺れにあったら落ち着いて海から上がり高台を目指そう。一部地域には浜の近くに津波避難施設があるところもある。よく行くホームスポットをはじめ、サーフィンする場所で津波の危険が迫った時にどこへ避難するべきかを確認しておいた方が良いだろう。あの日から想定外という言葉は我々からなくなったはずだ。その際に落ち着いて行動できる様に、今日の波のチェックだけでなく、津波が起きた際の避難場所も確認しておく癖を私自身もつけておきたいと思う。
津波防災啓発ポロジェクトで下記の様な取り組みも行われている
「#beORANGE」ビジョン・活動目的
「海の防災のムーブメントを起こし、海と人が共に生き続けていく社会を
つくる」「海と共に生きる」「海と共に暮らす」 。
そのために、わたしたちは海と上手に付き合えるようになろう。
そんな想いで始動したのが、津波防災の普及啓発プロジェクト#beORANGEです。
3.11の震災で、わたしたちは自然の驚異、海の恐ろしさを知りました。 一瞬にして多くの命を奪っていった大津波。 けれど、東北の方々は口を揃えて言うのです。 「海が悪い訳じゃない」「わたしたちにとって海は宝だ」と。
現在の日本では、高い防波堤をつくることで津波被害を防ごうとする動きが活発です。もちろん、そうしたハードの 整備も防災にとっては大切で必要なこと。けれど、それでは人々と海は離れ離れになってしまう。「想定外」が生じる たびに、海を愛する人々と海の間には高い高い壁がそびえたってしまうことになるのです。「どうすれば海と共に生き ることができるんだろう」わたしたちは考えました。
そうしてたどり着いたのが、わたしたちひとりひとりが「上手に海と付き合うため」の津波防災。ハードの整備に頼り切 るのではなく、わたしたちが海の恐ろしさも知り、特性を理解し、正しい避難場所へ迅速に避難することができるようになれ ばいいのではないかと考えたのです。
本プロジェクトでは、海に映える「オレンジ」という色を使ったフラッグを津波避難ビル・タワーに掲げることで、緊急時 に避難する先をわかりやすく示します。 さらにはプロジェクトに共感する賛同者も キーカラーとなる「 オレンジ 」 で可視化し、オレンジフラッグを活用した避難 訓練も実施。日本全体を巻き込んで「海と共に生きる」未来をつくります。