サーフボードの基礎知識

サーフボードは奥が深い。とりわけショートボードは近年デザインの多様化が進み、、“長さ×幅×厚み”の基本スペックだけで真価は測りきれない。だからこそ、デザインについて正しい知識をもつことが重要だ。

さらに乗りやすく、進化を続けるショートボード

サーフボード

ボードの種類のなかで、最も軽量でコンパクトな「ショートボード」は、その動かしやすさから、さまざまなアクションを取り入れたサーフィンをしたい人に最適。最近は、エアリアルや激しいオフザリップなど、ハイアクションをメイクするトップ選手の影響もあり、以前の細長いボードではなく、幅が広くて短いデザインが主流となりつつある。体積が同じであっても、ボードが短いほど回転性は上がり、十分な幅により着地時も安定するからだ。ちなみに、ムラサキスポーツが今年イチ押しする「スレーターデザイン」のサイマティック(写真)は、ケリー・スレーターと鬼才シェイパーのダニエル・トムソンが手がけた最新モデル。ラディカルなサーフィンを得意とするモデルのオムニと、オールラウンドに活躍するサイファイを組み合わせ、テールのアウトラインやボトムのコンケイブをアップデート。小波から頭半サイズまで使えるモデルで、最強のオールラウンドボードとの声も上がっている。

1.テール形状によって乗り味は変わる

ボードやフィンで水に抵抗を加え、その反発する力によりスピードを生み出すサーフィン。なかでもターン時に使うテールは、ボードのコントロール性能を大きく左右するパーツである。テールが広ければ反発する力も大きくスピードを得やすい反面、脚力のない人はボードを水に沈めにくいというデメリットも。もちろん逆も然り。そのため、各ボードはトータルデザインを考慮し、適したテールを採用。ここでは一般的なテールデザインを紹介。

ROUND PIN_ラウンドピン

ラウンドピン
水の抵抗が少なく直進性にも優れた「ラウンドピンテール」は、ホレた大きな波などに使われることが多いため、通常のショートボードでは見ることは少ない。「浮力のあるロングボードやミッドレングスでは採用されるデザインですね」。

SWALLOW_スワロー

スワロ―
スワローテールは、水の抵抗と浮力を抑えた逆V 字形状が特徴。「エッジの効いた角がスキーのストックのような役割を果たすため、敏感でキレのあるターンが可能です」。回転性にも優れ、幅の広いボードで使われることが多い。

ROUND_ラウンド

ラウンド
比較的幅の小さな「ラウンドテール」は、スカッシュと比べるとターン時のコントロール性能はスムーズ。「角のないゆるやかなシェイプなので、滑らかで軽やかなターンを実現できます。ケリー・スレーターも好きなテールデザインです」

SQUASH_スカッシュ

スカッシュ
ショートボードで最も多く採用されるスカッシュは、比較的大きなテール幅で安定性を持たせつつ、素早いターンなどのアグレッシブなサーフィンにも対応する。「最近では角の取れたラウンドスカッシュが主流になっています」。

2.フィンの違いでも乗り味は変わる

例えばフィンレスで波に乗ってみると、普段のコントロール性は完全に失われ、ボードが全く安定しないのを実感する。つまり、波に引っ掛かりを持たせるフィンのおかげでボードは安定し、同時に操作性も確保できるのだ。そのため、セッティングによって乗り味も大きく変化。サーフボードのなかでも主流なデザインの特徴を学んでいこう。

TWIN_ツイン

ツイン
「ボードの中心に軸が存在しないツインフィンは、ボード下の水抜けがよく、スピード感のあるサーフィンを楽しめるのが魅力です」。センターフィンがないので、ターン時の安定感は劣るが、大きいフィンを使い、そのルース感を楽しむのがツインフィンらしさ。ゆっくりした波でも安定したスピードを保つことが容易だ。

SINGLE_シングル

シングル
歴史が最も古い「シングルフィン」は、補助輪となるサイドフィンが付いていないため、無駄な抵抗が少ないのが特徴。「大きい1枚のフィンを使って、余計な力を入れず、波の動きに合わせたサーフィンを楽しむのに適しています。ゆったりとした乗り心地や、大きなラインでクルージングしたい人におすすめです」。

FIVE_ファイブ

ファイブ
5つのプラグを搭載した最新システムの「ファイブフィン」は、トライやクアッドなど、波によってフィンセッティングを変えられるのが最大の魅力。「唯一のデメリットと言えば、プラグ数の多さにより重さが増えることですが、わずか数グラム。その利便性の高さから、現在のショートボードの主流になっています」。

QUAD_クアッド

クアッド
「フィンに水圧(抵抗)がかかることで反発が起き、その後のスピードに繋がる。つまり、フィンの枚数が多い分、反発力はさらに拡大し、スピードは出やすくなります」。つまり、多くの水圧がかかる「クアッド」は、センターフィンがないためトライフィンよりもルースだが、スピードが付くぶん回転性は高くなる。

TRI_トライ

トライ
シングルフィンとツインフィンを統合した「トライフィン」は、最も乗りやすく、安定性も抜群。「初心者から上級者までを満足させるコントロール性能を持ち、スタンダードなフィンセッティングとして知られています」。サイドフィンがあることでライディングは安定し、センターフィンがボードの中心を軸にしたターンを可能に。

ボード側面(レール)のデザインにも意味があり!

サーフボードの良し悪しは、全体のバランスにかかっている。同じスペックでもテイクオフの速さやコントロール性は違うし、長くても安定しない場合もある。そこには、基本スペック以外にも、ロッカー、コンケイブ、テールやノーズの形状などが複雑に絡み合っているからだ。“厚み”で表記されるレールにも、個性があるのだ。
レールデザイン
スペックに表示されている“厚み”を見て、ついレールを触ってしまう人は多いと思うが、本来の厚みとは、ボードを輪切りにしたとき最も太い部分を示す。つまり厚みが同じでも、レール形状が異なれば乗り味が変わってくるのだ。サーフボードのレールを波面に入れたり、出したりすることで、その抵抗や反発力によりターンは可能になる。「ボキシー」と呼ばれる形状は、ぼってりと厚みがあり、十分な浮力と安定感が特徴。反発が強いので加速性はあるが、脚力のない人は水に沈めるのがやや難しい。ただし上手く使えば、伸びのあるターンを実現できる。対して、上部がさらに細い「テーパー」は、レールは入れやすいがボキシーに比べると加速性は劣る。脚力のない人も扱いやすく、ホレた波に適した反応の速さを保つため、コントロール性を重視する人には好まれる。最近のショートボードは長さの短いモデルが多いため、浮力のあるボキシーが好まれる傾向にある。


お話を伺ったのは・・・
ムラサキスポーツ 茅ヶ崎南口店

湘南を代表する大型サーフショップで、サーフボードの取り扱いは常時700 本以上。初心者から上級者までを満足させる、バラエティ豊かなラインナップが魅力だ。
☎ 0467-58-3601 神奈川県茅ヶ崎市幸町1-16
www.murasaki.co.jp


写真/熊野淳司(STUDIO467) 取材・文/菅明美