テイクオフ「バックサイドとフロントサイド」

 

テイクオフには波やサーフボードのデザインによっても抑えるべきコツがある。何だかしっくりこない……を解決するために、状況別にディテールを追っていこう。今回は「方向別」のコツをご紹介。


フロントサイドとバックサイドでは視野と視線を変えることを意識する

体の動かし方に加え、動かしやすさが変わる

波に正対するフロントサイドと、背を向けているバックサイドでは、当然ながら波の見え方、見えやすさが変わる。そして体の構造から、フロントサイドとバックサイドで体の動かし方や、動かしやすさも変わってくる。もちろん目指したいのは、どちらの方向へもスムーズにライディングしていけること。そのためには、まず各々の方向へライディングしていったときに置かれる状況を理解することが大切だ。そのうえで、波とタイミングを合わせるための体の使い方を覚えていきたい。ここではフロントサイドとバックサイドにおける違いにフォーカスしていく。ひとつの方向にしかライディングできない状況から抜け出すことができれば、サーフィンは今よりもっと楽しくなる。


フロントサイド

波のブレイクがよく見えることから先走ってしまいがち。波に力のある場所から外れてしまうことを防ぐために視線でリードしていく。

フロントサイドのポイント

その1. 急ぎながらも焦らず、視野を広く保つ

「早くテイクオフしようと勢い余って前のめりになると、視野が狭くなってしまうので気をつけること。焦らずに少し引いた感覚でいる方が波は広く見えます」と山中プロはいう。そうすることで、テイクオフ後に波に力のあるエリアから外れてしまうことも防げる。フロントサイドでは視界が前方に開けているので、視野を広く保てば、波のトップ、ボトムは自然と意識できてアクションに繋げられる。慌てずにテイクオフすることを心掛けよう。

その2. 前足に乗り込み体重をボードに乗せる

「ボトムターンの際につま先へ荷重しづらいので、テイクオフのときには体ごと乗り込むようにする」という小林プロによるアドバイスは、ライディングに初速を与えることにおいても有効だ。ただ注意したいのは早く立ちすぎないようにすること。フロントサイドでは波全体が見えているため、焦らなくてもテイクオフからスムーズに体重を乗せられる。十分にスピードがつかない状況で立ち上がると波に遅れ、テイクオフもままならなくなってしまう。


バックサイド

波に背を向けているので恐怖心が出たり、大きなラインが取りにくい。全体を見やすくするための体の使い方、動作のリードが重要。

バックサイドのポイント

その1. 腰をしっかり落とし前の肩を波側へ開く

バックサイドの一番のポイントは、前の肩を波側に開いてあげること。そうすれば視界が広がり波の全貌が見えるとともに、パーリングを防げる。テイクオフのとき、前の肩に顎をつけて腰を落とせば全体が開きやすい。その際に山中プロは以下の点にも気をつけているという。「前の手を上げるようにする。前の手が下がると、背が波に向いてしまい視界を確保しづらいので。さらに後ろの手を添えてあげれば、ボトムターンのリードになります」。

その2. 進行方向を見ながらもボトムを意識する

バックサイドでは、体の可動域が狭いうえ、体重がかかとにかかりやすいので、注意をしないと波の先へ先へと走ってしまうことになる。それを防ぐためには、テイクオフ時、ボトムを視野に捉えておく意識を持つことが有効だ。「バックサイドは体の構造上、トップではボードを返しやすいので、ボトムターンをより深くすることに意識を向けたい。フロントサイドより少しだけ後ろ足重心でテイクオフするのがいいでしょう」とは、小林プロのアドバイス。


フロントサイドとバックサイドの両方向にテイクオフができればサーフィンはもっと楽しくなります。次回は厚い波、掘れた波でのテイクオフのコツをご紹介します。

 

写真/高橋賢勇 取材・文/高橋淳 取材協力/ケンティンサーフショップ