サーフィンの試合のルールや採点方法は、馴染みがない人が予備知識なして見るとわかりづらいものがある。フランスオリンピックでの試合観戦でも楽しめるように基本的なルール・採点方法を知っておこう。
この記事の目次
基本的なルール
ここでは世界基準となり、オリンピックでも採用されるであろうWSL(ワールドサーフリーグ)のルールをご紹介。(主催する団体や大会によって多少異なる部分もある)
ヒート時間
1ヒート通常25分〜35分(大会やラウンド、人数、波質による)。
パリオリンピックは30分ヒート、ファイナルと3位決定戦は35分予定。
※「ヒート」とは試合の組み合わせのこと。「第1ラウンドの第1ヒート」は「1回戦目の1組目」という意味になる。
対戦人数
1ヒート2人〜4人で争われる。3〜4人の場合は上位2人がラウンドアップ、2人(マン・オン・マン)の場合は勝者がラウンドアップする。(パリ・オリンピックではラウンド1は3メンヒート。1ヒートで3人が対戦し、上位1人がラウンドアップ、2位と3位の選手はラウンド2へ進む。ラウンド2以降はマンオンマンの勝者がラウンドアップする。そのためラウンド1で脱落する選手はいない)
ルール
採点方式。ジャッジメントは5人。1ヒートで1人のマキシマムウェイブ(乗っていい本数)が制限されている場合もある。それぞれ1本のライディングに対し各ジャッジが点数をつける。ライディングの技・種類・難易度・スピード・パワーなどの要素を踏まえて点数を出す。全てのライディングの点数のうち、ベスト2ウェイブつまり得点が高い方から2本(20点満点)の合計スコアで争う。
それぞれヒートでは選手がゼッケンを着用する(赤、白、青、緑など)ため、お気に入りの選手のゼッケンカラーをヒート表などでチェックしておこう。そうすれば、沖で演技をする選手を見つけるのが容易になる。こちらはラウンド毎に色が変わることが普通なので、しっかりチェックしよう。
サーフィンの採点
1本のライディングに対して0.1点〜10点(満点)の点数がつく。点数は以下の通りに分けられる。見る際の参考にしてほしい。
・0.1〜1.9(Poor)
・2.0〜3.9(Fair)
・4.0〜5.9(Average)
・6.0〜7.9(Good)
・8.0〜10.0(Excellent)
得点例
下の表を例として見てみよう。縦軸が選手名、横軸が乗った波の本数だ。
1本のライディングに対しての点数の付け方
各ジャッジの最高得点と最低得点を除いた残りの点数の平均がそのライディングに対する点数になる。
選手Aの7本目のライディングに対して各ジャッジが出した点数(黄色い四角内)を見てみよう。
この場合は最高得点8.5と8.0を除いた平均点(8.3+8.0+8.5)÷3=8.266666・・・四捨五入して8.27点が、選手Aの7本目のライディングの点数となる。
最終的な得点の出し方
それぞれの選手が1本目から積み重ねた得点のうち、高得点の2つを足した数が高い者が、そのヒートの勝者となる。選手Aはライディング5本目7.60+7本目の8.27=15.87点となり、3選手の中で1位通過となる。上の表でもわかる通り、ライディング本数が多いからといって勝つわけではない。
優先権ルール
優先権ルール(プライオリティ)があり、優先権を持つサーファーが優先的に波に乗れる。優先権は波に乗ろうとするアクションを起こすと、乗ろうが乗るまいが優先権は次に優先順位が高い人に移ってしまう。判断する側にとってもどこまでがセーフなのか線引きが難しく、この辺の選手同士の駆け引きも見ものだ。
基本的にプライオリティのルールを破り、他の選手を妨害するとインターフェアレンスとして獲得したポイントの高い方が1/2になるなど大きく差し引かれる。(ヒートが始まってすぐは優先権は発生しない、そのため熾烈なポディション、波争いが繰り広げられることもある)
会場ではMCからポイントのコールや順位、逆転に必要なポイントなどがアナウンスされる。わかりにくければ、ネット配信などでチェックし、点数を確認しよう。また国際大会を中心にラウンドの1位アップの選手はインタビューが行われることが多い。
表彰式も観客を飽きさせない工夫が随所に見られるので、時間に余裕がある方は表彰台に上がった選手を一緒に祝おう
サーフィンを観戦していて楽しい部分はひとそれぞれ。純粋に凄いサーフィンを見たら拍手と歓声をおくって楽しめばいいと思う。大きな大会はハイレベルな選手達ばかりが出場しているので、個人的に自然、波運が大きく左右するメンタルゲームの意味合いが大きいと考えている。選手の駆け引きを見たり、絶対にワイプアウトできない場面で極限まで波を攻める選手の姿を見ると感動すら覚える。
表彰式も現地で見られる楽しみのひとつ。ぜひ、今年はサーフィンのコンテストを観戦してみてほしい。
出展:WSL、NSA、JPSA、ISA
文/スタッフ鈴木 写真/ISA