お願いしなくてもやってくるのが冬。ただし、冬は海をやや海が空いて上達のチャンスでもあるのです。ここで改めて、冬サーフィンの4つの特徴を理解してしっかりと防寒対策を!自身がサーファーである医師の稲田邦匡先生に聞いてみました。
1.そもそも「冷え」はなんで起きるの?
人間の身体は冷たい水や風により、体表面から熱が奪われていきます。健康な身体であれば、自分で熱を発生して適切な体温を保ちますが、その働きが追いつかなくなったとき、「冷え」が生じます。最近ではウェットスーツの進化で間違いなく冬でも海に入れる時間は増えました。しかし頭部や手などが外気に触れ続けることで体温は低下し、寒さが極まると身体が急激に熱を発生させようとする「シバリング」(手足がしびれ、全身がガタガタと小刻みに震える現象)が起こり始めます。シバリングが起きた場合、身体のSOSサインでもあるので、絶対に海から上がってすぐに身体を温めることが必須です。
2.体温が下がることで、サーフィンに支障はある?
体温が下がると神経や筋肉の働きは低下してパフォーマンスの低下につながります。血流が悪くなると筋肉の疲労回復が遅れ、疲労がたまりやすくなります。筋肉が固くなることで起こる肉離れなど、ケガをするリスクも増えるので気を付けましょう。
3.冬の海で気をつけたいことは?
寒さに身体を慣らすことが大事です。なぜなら身体に強いストレスがかかる寒い海では心臓にも大きな負担がかかります。そのため自覚症状のない心臓病や糖尿病などを持つ人は、心筋梗塞などを起こす危険性があります。中年サーファーはしっかり健康診断を受け、これらの持病がないか確認しておきましょう。また、血流障害を起こす喫煙や脱水状態である二日酔いも冬の海では危険要素になります。暖房の効いた車内から突然冷たい海に入るなど、急な寒暖差は身体に大きな負担がかかります。ウェットスーツを着てビーチでストレッチを行うなど、徐々に外の環境に身体を慣らしていくことが大切です。
4.サーフィン後に最適な保温対策は?
お湯を浴びたり、暖かい洋服を着るなど、身体の外側から温めることはもちろん、身体の内側からも温めることで、「冷え」を早く解消することができます。海上がりには、温かい飲み物を500㎖くらい飲むようにしましょう。その際、内臓に入るまでに十分な温かさを保てるよう、とろみスープのような粘度が高く、保温性の高いものがおすすめです。さらに生姜など、栄養成分的に身体を温める効果を持つ食材を取り入れることも有効です。また、とても疲れている場合には、速効性のあるエネルギー源のブドウ糖を含んだスポーツ飲料などを温めて飲むのが効果的でしょう。
お話しを伺ったのは・・・・
稲田邦匡 先生
いなだくにまさ●1964 年、千葉県生まれ。整形外科医、脊椎外科医、スポーツドクター。勝浦整形外科クリニックや七浦診療所で診療を担当。JPSAやWSLのオフィシャルサポートドクターとしても活躍。競技スポーツとしてサーフィン発展のために、医学的な視点から研究を進める。自身も生粋のサーファー。
写真/熊野淳司、高橋賢勇 文/菅 明美
[サーフィンライフ2018年11月号掲載記事を再構成]
および2018年11月25日掲載記事を再編集したものです。
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