Y.Uサーフボードの植田義則氏に聞く!「レールデザインの機能性」

さまざまな乗り味を生む形と浮力の相互作用

発売中のサーフィンライフ3月号のレールワーク特集。サーフィンにおいてレールがどういった役割を果たしているのかを解説してくれている。レールデザインによってもその乗り心地は大きく変わる。レールを波に入れると、水がボトム、デッキ、テール、フィンと、サーフボードのあらゆる場所に流れてスピードが生まれる。レールのデザインは、サーフボード全体のシェイプとの関係性によって無限に存在するが、大きく3つに分けて、それぞれの形が持つ特性を説明しよう。

 

レールデザインの種類


レール全体に厚みを持たせたデザインが「ボキシーレール」だ。レールの浮力が大きいことで、ターンの際の反発が強くなる。例えば、パワーのない小波で素早くターンさせるようなサーフボードにフィットしやすい。

サーフボードのボトムの方に向かって鋭角に削ぎ落された「ローレール」は、水に食い込ませやすい形状なので、水面が硬いパワフルな波用のサーフボードなどに向いている。

ボキシーレールとローレール中間の特性を持つのが「ミディアムレール」。程良い浮力と程良い反応を得られるので、幅広い波で使う、オールラウンドなサーフボードなどにマッチしやすいデザインだ。

 

また、こうした特性をいかして、サーフボードの持つ浮力がデメリットを、レールデザインによってカバーすることも可能だ。例を挙げると、波に沈めにくい厚めのサーフボードであっても、ローレールにすることで水面に入れやすくできる。逆に薄いサーフボードが波に食い込み過ぎることを、ボキシーレールで解消できる。このようにレールはサーフボードの浮力と形を組み合わせながら、使用する波や、サーファーの好みに応じてデザインされる。

 

教えてくれた人

YUサーフボード 植田義則

写真/三浦安間

植田義則
うえだよしのり●1954 年、東京都生まれ。世界中から絶大な信頼を集める「Y.Uサーフボード」の代表兼シェイパー。熟練のハンドシェイプで、美しいフォルムと確かな乗り味をユーザーのニーズに合わせて提供し続けている。