基本のキ!サーフィン前のストレッチ

力みのないサーフは柔らかい身体のケアから

力みが入ると波の上でロボットのような動きになる。サーフィン前のストレッチで力みのないサーフができるように、また怪我の予防にもなるので意識的に取り入れよう。3人のプロサーファーのフィジカルケアをご紹介。


 

大澤伸幸プロのメソッド
海に入る1時間前にストレッチ、直前は軽い運動で温める
「僕の場合、ストレッチは海に入る1時間前に行います。主にストレッチポールを使って肩甲骨回りから背中、下半身まで全身をしっかりストレッチ&リセット。海に入る直前にはビーチでジャンプしながら走ったり、今度は軽い運動をして体を温め、ストレッチで弛緩させた筋肉を運動に適した状態に高めてから海に入ります。このルーティーンをしてから海に入るとパフォーマンスが全然違いますし、怪我の予防にもつながります」

お尻、もも裏を伸ばす

「サーフィンの低い体勢を支える下半身のストレッチ。足を肩幅に広げ、砂浜に刺したボードを持って背中を反らしながらお尻を上げます。次にお尻をかかとの方に下げていき、お尻からもも裏までを伸ばします」
サーフィン前のストレッチ

股関節と下半身の側面をほぐす

「大きな半円を描くように足を左右に動かして、股関節から腰~お尻の側面をよくほぐします。リッピングなどのサーフィンの動きをイメージして足を上げたり、開いたりして下半身の可動域を増やしていきます」
サーフィン前のストレッチ


 

中浦JET章プロのメソッド
怪我を防ぐために普段から体を柔らかく保つ
「サーフィンの前は最低でも10 分、時間があるときは30 分以上、必ずストレッチしてから海に入ります。ストレッチはやればやるほど体が軽くなり、きわどい姿勢でも耐えられたり、瞬発的な反応が良くなったり、パフォーマンスが全然違うんです。そして何より怪我が防げる。海に入る前はもちろん、日常生活のなかでも意識的にストレッチやピラティス、縄跳びやマラソンなどを取り入れて体をほぐすようにしています」

体側と腰、お尻を伸ばす

「仰向けになり片手を上げて足をクロス。クロスさせた足をもう片方の手で掴み、体側と腰、お尻をぐーっと伸ばしていきます。秒数、回数ではなく自分の体に意識を傾けて、しっかり伸びたなと思うまで」
サーフィン前のストレッチ

股関節と背中を伸ばす

「片足をあぐらをかくようにして曲げ、その上に上体を倒します。胸と足の甲は地面に着けて、手は前に伸ばし、足のかかとは股間に来る感じで。そこからさらに上半身を反らせてもっと股関節を伸ばします」
サーフィン前のストレッチ

足首をほぐす

「体の先端からほぐしていきます。とくに足首は機動性や、衝撃を吸収するうえで大切な役目をはたすので入念に。足首を回しながら、足の指はボードを掴むようなイメージでぎゅっと曲げて指から甲もしっかりと伸ばします」
サーフィン前のストレッチ

下半身の体側を伸ばす

「この体勢のストレッチは脇下の体側を伸ばすイメージの人が多いですが、僕は上半身よりも下半身が伸びるようにやっています。内側の膝を入れ込んで、お尻から腰まわり、ももまわりを伸ばしていきます」

サーフィン前のストレッチ

股関節と腰を伸ばす

「足を開いて腰を落とし、肩をねじり込みます。大きい動きでぐーっとねじり込んでいくことにより股関節の可動域が広がると同時に腰まわりも伸びていきます。1つの動作で2 箇所を伸ばせるストレッチです」
サーフィン前のストレッチ

膝とももの内側を伸ばす

「足を開いて片方ずつ曲げ伸ばし。膝・ももの内側、腰と背中の間の筋肉を伸ばすイメージで。サーフィンは足、膝の怪我がいちばん多いので、この他にもジャンプしながら膝を曲げるような運動も効果的です」
サーフィン前のストレッチ


吉川共久プロのメソッド
日頃から肩まわりと股関節はケア

「部位としては肩と股関節がかたくなりやすいので、ストレッチをするなどケアはしていますね。ただ、柔軟な体が柔らかいサーフスタイルを生むかといえば、必ずしもそうではないと思います。ライディング中、脱力して見えるのは、波の力をうまく使えているから。波の力がある場所へ、サーフボードを誘えているからです。身体、波、ボード、それぞれをうまくリンクさせられれば、たとえ体がかたくても、脱力したサーフィンはできると思います」
サーフィン ストレッチ


写真/高橋賢勇、エドウィン・ペリー