フェイスが乱れて乗りづらいオンショアの波を乗りこなすことができれば、上達も早くなって波が良い日のライディングに自信が持てて、もっと楽しくなってくる!
まず、オンショアの特徴を知る
海側から岸へ向かって吹く風のオンショアは、風が波をバラけさせ、いくつもピークがあるような状況になる。そうなると、どこから乗ればいいのか、どこにパワーがあるのか見極めることは難しい。オンショアでは、波がブレイクしているように見えるからといって、そこにパワーがあるとは限らない。風が波の上部だけを強制的に崩している場合があるからだ。さらに、オンショアの難易度をあげるのは、ひとつの波に、厚めのセクションと掘れてくるセクションが混在する点にある。特に大切になるのは厚めのセクションでのスピードの出し方で、ここで失速するとロングライドは望めない。オンショアで重要になってくる波の見極め。確かな目を持つためには、パドルアウトの前に、その日の波のクセをしっかり観察するということが、とても大切になる。
Q1.テイクオフがしにくい!
波が重なり掘れてくる場所を探す
取るべきポジションの判断が難しいオンショアでのテイクオフ。乗りはじめる場所を判断する際にひとつ意識したいのは、波の重なりだ。「風によってウネリがバラけたオンショアでは、注意深く見ると、そのバラけたウネリが重なってブレイクしてくる波があります。ウネリが重なる場所は、パワーがあり掘れてきやすいので、そういったピークを見つけることが大事です」進行方向を決める際には、ピークの左右両方を見て、別のピークへとつながる方向に行きたい。左の写真では、波が崩れはじめているピークに加え、その左側に別のピークがあるのでレギュラーへ行くのがいい。海の中では目の前だけを見るのではなく、少し引いた視点を持つことも重要だ。
波が重なりあっているところでは、重なる波それぞれの斜面の角度が異なる。いくつもあるように見えるピークの中からテイクオフするポジションを決めるには、より急な角度になっていきそうなところを探すのが秘訣だ。
Q2.長い距離を走りにくい!
ボードのボトム面を使い、厚めのセクションを抜ける
オンショアでは、厚くなるセクションを走り抜けることが、ロングライドのカギとなる。「サーフボードの基本的な動かし方に“レール・トゥ・レール”があります。しかしオンショアで出会うような波が厚くなるセクションでは、レールを入れた後ですぐにもう一方のレールに切り替えるのではなく、サーフボードのボトムを水面に接地させるように意識して、波からより大きな反発を得るようにしています」無理にレールに加重して加速しようとすると、波に引っかかり失速を招くことがある。そこでボトム面を水面に押し込むように加重すると、波からパワーを得やすくなるのである。少しでも反発の得やすい幅が広めのボードなどを使うといった方法も小波対策としては有効となる。
波が厚くなるセクションでは、レールを入れる際にもあまりサーフボードを傾けず、浅めのターンを心がけよう。レールが水面から抜けたなら、ボトム面を使いしっかりと水面に乗る意識でサーフボードを踏み込むと、波からの反発が得やすくなる。
Q3.技をかけられる場所が少ない!
狙うのは角度のある波の斜面
不規則なブレイクをするオンショアでは、アクションを行ううえで格好なセクションがあらわれるのは稀だ。そこで、技をかけにいく際には波の見た目にとらわれず、波の斜面の角度をひとつの目安にしてみよう。風によって波のトップが崩れ、技のかけにくそうなブレイクでも、その波の斜面に角度があれば、アクションを行うことは可能となる。「テイクオフで大切なことにも通じるのですが、オンショアでパワーがあるのは、波が重なって掘れてくるところ。そういう場所を狙えば、たとえ波の形は悪くても、リッピングなどの技をかけにいったときにボードがよく反応してくれます。波に乗りながらも、波が重なるような場所、角度のある斜面を常に探していくことが大切になってきます」
風に崩されて、一見すると波の形は良くない。しかし、ここで注目すべきなのは、波の斜面の角度だ。写真3 枚目に写っているスプレーの量を見れば、力のなさそうな場所ながら、パワーのあるセクションだったことが分かる。
オンショアでも波をよく観察して挑めば、サーフィンを楽しむ幅が広がって上達につながる。上記のコツをつかんで海で実践してみよう!
写真/高橋賢勇 取材・文/松永光人