実践!サーファーのカラダを作るトレーニング「視機能 編」

姿勢を安定させるには視覚、平衡感覚、体性感覚が必要で、その割合はそれぞれ 10%、20%、70%といわれる。これらの感覚に明確な意図を持った刺激を与えて、知らないうちに身についている「動きのクセ」を修正すれば、サーフィンにおけるパフォーマンスは向上していく。

その1.視機能を高める

カラダを動かすための情報のインプットは、その8割が視覚によって行われる。そしてスポーツに必要な目の機能には、静止視力、動体視力、立体視力、広い視野を確保するための周辺視力があり、周辺視野のぼんやりとした光景を認識する能力も求められる。運動中の光景を認識する目の力はカラダの動きと関係し、目の機能が高ければ、それだけパフォーマンス力も高まるといっていい。

 

立体視能力の向上

物を立体的に見たり、奥行きを感じる立体視という力を養うトレーニングが「ブロックストリング」を使ったもの。これは長さ1mの紐に3色の玉を通したもので、規則正しい順番で玉を1つずつ配置し、ルールに沿って見ていくことで、両目で見る力が鍛えられ、立体視能力も形成できる。

紐の片端を鼻にあて、もう一方の端を前方に真っすぐに伸ばすのが基本姿勢。目から10㎝の位置に緑の玉、紐の中央に黄色の玉、伸ばした手付近に赤の玉を配置。

 

周辺視野を広げる

物を見る際、その周辺を捉える周辺視力は、動体視力と同義。サーフィンでは、周囲と自分の位置関係を把握するのに有効だ。周辺視野向上に役立つのがお手玉遊び。左右の手に1つずつ持ったお手玉を、同時に投げて同時にキャッチ。見たいものを目で捉え、素早くピントを合わせ、目の感覚で得た情報に合せてカラダを動かトレーニングになる。

顔は正面を向き、周辺視野でボールを追うように意識する。慣れてきたら歩きながら、バランスボールやスケートボードを使い、不安定な状態で行って難易度を上げていこう。

 

動体視力を高める

動体視力が強化されれば、情報を脳に伝えるスピードがアップし、反射神経を向上させることができる。ここでは、2人ペアになり、足元が不安定なスケートボード上でボールを投げ合うトレーニングを紹介。動くものを正確に見極める能力や、ボールと相手との正確な距離感をつかむ力を身につけ、高い動体視力を養おう。

スケートボードの上に立ち、正面でボールをパスし合うのが基本動作。ボールはバレーボールやサッカーボールなど、ある程度重さがあってパスしやすいものなら何でもOK。

慣れてきたら背面でパスし合ったり、平地や坂道で滑りながらのパス、コーンを利用した8 の字パス、縦横無尽にスケートボドをしたりしながらのパスにもチャレンジ。

 


サーフィンライフ2019年9月号を再編
写真=熊野淳司、朴 玉順(CUBE) 取材・文=江原裕子 監修=古川丁巳