波を知る#1「ビーチブレイクとはどんな波」か理解したら、実際に沖にパドルアウトしなければならない。効率よく沖に出るためのコツとは?
この記事の目次
大切になってくるのはリップカレントの見極めと沖に向かうタイミング
上手なサーファーは、波に乗ったと思ったら、あっという間に沖へ出てくる。パドリングが早いのはもちろんだが、彼らは沖へと向かっていく海の流れに乗っているのだ。
浜瀬プロは、その場所を見つけるコツを次のように話す。「大切なのは、海に入る前に波をよく見ること。そしてなるべく波が割れない場所を探すこと。そこに沖へ出る流れ、〝リップカレント〞があります。よっぽどの例外でない限り、最も大きな波が割れた端に波の割れない場所があるはずですから、そこへ続く流れを見つけてパドルアウトするんです」パドルアウトのライン取りは潮の状況よっても変わる。だが共通するのはリップカレントを利用すること。また、波が大きいコンディションのときに大切となるのは、セットの最後の波が割れるタイミングを待とう。押し寄せた大量の水が戻る流れに乗れば、よりスムーズに沖に出れるのだ。
そうはいっても、どれも最初はなかなか見えてこない……。「始めは上手い人についていくのが一番。海を観察するときも、上手い人の波の乗り方、沖の出方をよく見ておけば、次第に波の動きがわかってくるはずです」
ハイタイド
水量が増えて水深が深くなるため、波の割れない場所が見つけやすい
「これくらいのサイズだと、セットが来るタイミングさえ外せばどこからでも沖に出やすいです。それでも効率を考えるなら、岸から向かって右寄りからまわり込むのがいいでしょう。パドルの距離は長くなりそうですが、波のブレイクしない場所がよりはっきりしていることが理由です。」
「この写真のように、遠浅で、堤防があるビーチならまわり込めますが、人工物が何もないビーチで、かつ岸近くで急激に浅くなる地形だと、ショアブレイクを乗り越えていく必要があります。そのような場所では波の来ないタイミング、もしくは最後のセットを待って沖に出ます。また潮が上げているときは水量が多くパワーがあるので、波のサイズが大きいときは特に注意が必要です」
【撮影時のコンディション】
潮位:139㎝
風:やや強いサイドオフ
波のサイズ:腰~腹、セット胸
ロータイド
沖まで歩いて行けそうなほど潮が引いているときは、最短距離を探す
「潮が引くにつれ波のサイズは下がりやすいですが、水深が浅くなるため波数は増え、タイミングを見誤ると沖に出づらくなります。このときなら、右の堤防脇から少し左にあるピークを目指したいもの。上から見ればわかるように、すぐに沖ですからね。ビーチの中央を突っ切るのは、波がずっと割れている場所だからもちろんダメ。左からもまわり込めるラインはありますが、ピークまでの距離が遠くなります。」
「もしライディングの途中で転んでしまったり、プルアウトしたときにセットがきたら、急がば回れです。正面から行かず、左の波が来ないところからまわり込み斜め右方向にピークを目指す。または一度ビーチに戻って右の堤防脇から出た方が効率はいいでしょう」
【撮影時のコンディション】
潮位:-1㎝
風:弱いオンショア
波のサイズ:腰~腹、たまに胸
沖に出たら次は波待ち。波を待つポジションはどの波を狙うのかによって変わる。次回は、アウトサイド、ミドルセクション、インサイドと、乗りたい波はどれ?どうやって乗る?を解説していきます。
教えてくれた人
プロサーサーファー 浜瀬 海
はませかい●1997年、神奈川県生まれ。2017年にJPSAロングボードグランドチャンピオンを獲得した、ショートボードのプロとしても活躍する稀代のオールラウンダー。先日開催されたJPSAロングボード特別戦と第2 戦を連続優勝するという快挙を成し遂げたばかり。
写真/吉岡昌彦、ユースケ、高橋賢勇、中浦“JET”章、ペドロ・ゴメス、ショーン・サラリラ イラスト/樋口篤郎 取材・文/高橋 淳