急ピッチで開発されているBTTB2.0(Back To The Beach 2.0)。我々はなぜ一般人をモデルとしているのか。初号機の竹内さん(カムバックサーファーでブランク15年)やBTTB2.0は木下さん(普通の週末サーファー)、ビギナーの岩田さんなどが開発の一翼を担っている。これには深い訳があって、例えばプロサーファーは基本的にはどんなサーフボードでも上手い。単純に波を見るスキルから、パドル力、ポディショニング、乗った後のスピード、アクションとまるで我々とは違う。私自身もそうだが、そういったモデルはカッコイイし憧れるが自分のレベルに合わないのではないだろうかと思ってしまう。もっと身近な、もっとリアルな部分でサーフボードをプロデュースしたいと考えたからだ。
アライア(古代ボードが原型のウッドボード)でのロブ・マチャドのライディングやトム・カレンのスキムボードでのライディング、奇想天外な形のボードでもリッピングしている海外のアイコン達を見ていると、まさに弘法筆を選ばず。
我々は仕事上様々なプロのサーフィンを見る機会に恵まれているが、大澤伸幸、加藤嵐、河村海沙など日本人のプロサーファーも、初めて乗る明らかなオーバーフローや自分に合っていないボード、ソフトボードでも1本目からハイクオリティなライディングをしてくる。その為、繊細な乗り味の違いを感じられる彼らがボード開発に関わるのは当然だろう。
だけれど、上手すぎてリアルさが読者の方には伝わりづらいと考えた。そのため、ブランドさんと組ませていただくより、プロデュースの方がいいと考えに至った。本当に読者層(週末サーファー)の皆さんにとってユーザーフレンドリーなサーフボードをプロデュースしたかったからこの様なカタチになったのだ。
次に手を組んでくれるシェイパー、ファクトリーを探す必要がある。ボード開発の素人と仕事をしてくれる方はいるのかと不安だった。できれば40歳くらい、同世代がいい。そこで白羽の矢が立ったのが添田知博さんだ。国内最大規模のソエダサーフボードを継ぐ2代目であり、ROCKDANCE、TOKORO、モーリス・コール、パット・ローソン、グリフィン・ニューマンカイル(ALMOND)、ロブ・マチャド、松本光二などのシェイプボードを扱う。添田さん自身もサーフボードをシェイプしており、先日のWSL QS1500ムラサキ湘南オープンで優勝したロックダンス・チームライダー鈴木仁が乗っていたのも彼自身によりデザイン、シェイプされたサーフボードだ。また、グラッシングからサンディングまで全ての工程を行える少数精鋭のファクトリー、マスターワークスもソエダサーフボードのマスタピース。この磐石な体制でハイクオリティなサーフボードが出来る準備が整った。
次に添田さんやマスターワークスの方に、要望を伝えさせてもらいその道のプロに指南、指摘していただき、サーフボードを作りあげていった。そんな一般サーファー向けにボードを開発している中で興味深かったのは、日本人はスペック至上主義の方が多いということ。かくいう私もそのひとり。0.1mmの数値を気にしており、例えば厚みが5,7cmと5.9cmの0.2mmの差を、例えば長さが5’6″(167.64cm)と5’7″(170.18cm)のボード、その差はcm換算でおよそ2.54cm。私はその違いをそんなに感じられるだろうか。数値ばかりを気にして頭デッカチになっていないだろうか。私は頭デッカチになっていたと思う。
個人的に感じたのはリッター数を1.5リッターあげただけで全然テイクオフがラク。かと言って動きが重くなるわけではないのだ(私レベルでは)。
そうしたなか、先入観を排除し添田さんが考える復活サーファーも乗りやすいデザインで渾身の1本が完成した。完成したサーフボードを見てセンター厚がかなり厚かったこともあり竹内さん本人(過去はポテトチップスボードを使用していたため)も不安を抱いていた。試乗させてもらった私も、所有するロングボードと同じ厚み表記だったため不安だった。しかしそれは杞憂に終わり、めちゃくちゃ調子が良かった。もちろん体格、波のサイズも違うので、人それぞれな部分はあるけれどやっぱり良いボードは多少スペックが違っても良いものだ。
テイクオフが早い、パドルがしやすい、しまいには動かしやすい、などなどこんなワガママを数多く聞いてくれたうえに、色々な提案をしてくれた添田知博さん、マスターワークスの皆さんには本当に頭が下がる。
いよいよオリジナルサーフボード第2弾 BTTB2.0(Back to the Beach2.0)の発売間近。添田氏のデザイン、シェイプが完了したとの情報が…。随時情報をアップしていくのでご期待ください。
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